高齢の母の「捨てられない」問題と、家族の対応策

83歳の母は86歳の父と高齢者用マンションに入居しています。二人とも認知症にはなっておらず、普通に会話は出来ます。ですが母が物が捨てきれない性格で、部屋がゴミ屋敷の一歩手前です。どうしたらいいでしょうか? 父と姉妹3人で何回も説得しましたが効果なく、それでは姉妹で「これもらっていい?」と大量の品を引き取りましたが相変わらずものは増え放題。足が悪く杖をついている母がこのさき躓いて骨折するのは必至ですし、その母といっしょに生活している父の精神的な負担も気がかりです。なんとかしたいのですが、母にそういったことを少しでも言うと激怒するので困っています。精神科に相談すべきでしょうか? ちなみにこの傾向は40年くらい前から徐々に始まり、3年前に実家からマンションへ入居する際も大量の物を処分してはいるのですが、それでも部屋は足の踏み場がない状態です。 両親とも戦時中の物の無い時代に多感な時期を過ごし、その後私たちを懸命に育ててくれたことをとても感謝しているので、母を傷つけるのはぜったいに避けたいのですが。 また、物を処分することによって母が精神的ダメージを受け、認知症やうつ病などの疾患になりはしないかということも気がかりです。

高齢者の「捨てられない」行動:その背景と解決策

ご両親の状況、そしてご自身の深い愛情と心配、よく伝わってきます。40年もの間続いている「捨てられない」行動は、単なる「片付けられない」問題ではなく、より深い心理的な背景が考えられます。戦時中を経験された世代は、物への執着が強い傾向にあると言われています。物資の不足を経験したことから、物を大切にする、無駄にしないという価値観が形成され、それが現在の行動に繋がっている可能性が高いです。

さらに、高齢になると、物への執着だけでなく、過去の思い出やアイデンティティと物が結びついているケースも少なくありません。それぞれの物に、人生の様々な出来事が詰まっているのです。それらを捨てるということは、同時に大切な思い出や自分自身の一部を捨てるような感覚になる可能性があります。そのため、ご自身がいくら説得しても、母上が激怒されるのも無理はありません。

精神科への相談は必要?

すぐに精神科への相談が必要かどうかは、状況によります。今の段階では、専門家の介入は少し早いかもしれません。まずは、ご家族だけでできる対応を試みることをお勧めします。しかし、状況が悪化し、母の安全が脅かされる、もしくはご家族の精神的な負担が大きすぎる場合は、躊躇せず専門家に相談しましょう。精神科医だけでなく、臨床心理士ケアマネージャーなども選択肢になります。

具体的な解決策:母への負担を最小限に抑える方法

母を傷つけずに、安全で快適な生活空間を作るためには、以下のステップを踏んでみましょう。

1. 共感と理解から始める

まず、母の気持ちに寄り添うことが大切です。なぜその物を捨てられないのか、その物にどんな思い出が詰まっているのかを、じっくりと話を聞いてあげましょう。否定したり、急かしたりせず、彼女の気持ちを理解しようと努めることが、今後の取り組みの成功を左右します。

2. 小さな成功体験から始める

一気に片付けるのではなく、小さな目標から始めましょう。「今日はこの引き出しの中身を整理してみよう」など、小さな目標を設定し、達成することで自信をつけさせることが重要です。整理が終わったら、一緒に写真に撮って、思い出をデジタル化することも有効です。

3. 物を「分類」する

全ての物を「捨てる」「残す」「後で考える」の3つに分類します。この際、「後で考える」箱を用意し、そこに迷う物を一時的に保管します。数ヶ月後に改めて見直し、本当に必要な物だけを残すようにします。

4. 写真やデジタル化を活用する

思い出の品は、写真に撮ってデジタル保存することで、物理的な物を手放すことができます。アルバムを作るのも良い方法です。デジタル化することで、場所を取らずに思い出を保存できます

5. 専門家の力を借りる

どうしても難しい場合は、整理収納アドバイザーなどの専門家の力を借りるのも有効です。彼らは、高齢者の心理を理解し、適切な方法で整理整頓をサポートしてくれます。また、高齢者向けに特化した片付けサービスも存在します。

6. 父へのサポート

母の行動によって、父にも精神的な負担がかかっている可能性があります。父にも話を聞き、彼の気持ちにも寄り添いましょう。必要であれば、介護サービスなどを利用し、父への負担を軽減することも検討してください。

インテリアの観点からのアプローチ

部屋の環境を整えることで、母の気持ちに変化を与えることも可能です。

7. 安全で使いやすい空間を作る

高齢者にとって安全で使いやすい空間は、精神的な安定にも繋がります。

  • 転倒防止:滑りにくい床材を使用する、家具の配置を見直すなど
  • 照明:明るすぎず暗すぎない、目に優しい照明を選ぶ
  • 収納:使いやすい高さの収納家具を選ぶ、整理しやすいように工夫する
  • 色使い:落ち着きのある、ベージュなどの暖色系のインテリアで、安心感を高める

ベージュは、暖かみがあり、リラックス効果のある色です。高齢者にとって、精神的な安定をもたらす効果が期待できます。家具や壁の色、カーテンなどにベージュを取り入れることで、より穏やかな空間を作ることができます。

まとめ

高齢者の「捨てられない」問題は、単なる片付けの問題ではなく、心理的な背景が深く関わっています。焦らず、母に寄り添いながら、少しずつ進めていくことが大切です。専門家の力を借りながら、安全で快適な生活空間を作り、母と父、そしてご家族皆さんが安心して暮らせるようにサポートしていきましょう。

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