昨年暮に家を新築して高気・高断の家に引っ越しました。しかし家の中が寒く、暖房(蓄暖6KW)の設定温度を25度くらいにしてファンを回してても部屋が暖かくなりません。蓄暖の業者の方に「ファンは回すと電気代が掛かるのであんまり回さないほうがいいですよ」と言われたのですが、回さないと寒いので家にいる時は常にファンを回した状態です。しかも温度が低い日は一日中、暖かい日でも夜9、10時以降になるとファンを回してても寒い状態です。特に寒い場所がリビングです。二階からの階段を降りてくるとリビングがあるのですが(リビングと階段の間に扉はありません)リビングにいると階段の方から冷たい空気が流れてきて寒くて耐えられません。なので夜リビングでテレビなどを観る時は、毛布をかけている状態です。寝る時も部屋が寒いので電気毛布を使っています。自分なりに寒い原因を調べてみたのですが、家には引き戸の窓が大小合わせて11か所あり、その引き戸の隙間から隙間風が入ってきてる感じがします。なので気密的にも不安があります。高気密住宅は各部屋が均等に暖かくなりますと聞いていましたが温度はバラバラです。リビングの温度は暖かいときで23度。寒い時で15度です。17度前後の温度の時が一番多いです。家は38坪。4人家族(私、妻、子供2人)。吹き抜けなし。福島県です。先月の電気代は約30,000円でした。電気代もファンを回さなければもっと安くなると思うのですが・・・施工業者にこの内容を伝えたのですが業者の答えは○一年目は寒いもの。来年からは暖かくなる。○機密検査には引き戸の隙間は考えないで検査するものなので問題ない。(検査結果数値は業者いわく1.7~2.0。検査は施工業者が行った)○どうしても寒い時は予備暖房を入れる。(もちろん更に電気代がかかります)○30,000円の電気代は妥当。以上のような返答でした。長文で分かりにくい文章ですが、この内容文を読んでお気付きの点、アドバイス等ありましたらよろしくお願いします。
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高気密・高断熱住宅なのに寒い理由:考えられる原因
高気密・高断熱住宅は、断熱性能が高いため、一度温まった空気を逃がしにくく、少ないエネルギーで室温を維持できるはずですが、質問者様のお宅では、様々な要因が重なって寒さを感じている可能性があります。以下に考えられる原因を詳しく見ていきましょう。
1. 気密性の問題:隙間風と窓の性能
- 引き戸の隙間:11か所の引き戸から隙間風が入り込んでいる可能性が高いです。高気密住宅であっても、窓やドアの気密性が不十分だと、冷気が侵入しやすくなります。特に引き戸は、気密性の確保が難しい部分です。施工不良や経年劣化の可能性も考慮する必要があります。
- 窓の断熱性能:引き戸の窓の断熱性能が低い場合、熱が逃げてしまい、室温が下がりやすくなります。窓の種類(複層ガラスか単層ガラスか、Low-Eガラスの有無など)を確認しましょう。また、窓枠の気密性も重要です。
- 気密検査結果の解釈:気密検査の結果が1.7~2.0とのことですが、これはC値(隙間相当面積)を表しています。一般的に、高気密住宅はC値1.0以下が目標とされています。2.0という数値は、必ずしも不合格ではありませんが、改善の余地がある数値と言えるでしょう。特に、引き戸の隙間は検査で考慮されないケースもあるため、体感温度とのずれが生じている可能性があります。
2. 熱の逃げ道:階段と熱移動
- 階段からの冷気:リビングと階段の間に扉がないため、2階から冷たい空気が流れ込み、リビングが冷えてしまう可能性があります。2階と1階の温度差が大きいと、この現象は顕著になります。
- 熱橋:コンクリートや金属などの熱伝導率の高い部材が、壁や床などに使用されている場合、熱が逃げやすくなり、冷えやすい場所が生じます。これを熱橋と言います。設計図を確認し、熱橋になりやすい箇所がないか確認してみましょう。
3. 暖房システムの問題:蓄暖とファン
- 蓄暖の能力:6kWの蓄暖は38坪の住宅全体を暖めるには、やや心許ないかもしれません。家族構成や断熱性能、気密性、地域性などを考慮して、適切な暖房能力の機器を選定することが重要です。蓄暖は、一度蓄熱した熱を放出する仕組みなので、ファンを回さないと熱が部屋全体に広がりにくいです。
- ファン運転:蓄暖の業者の方が「ファンは回さない方がいい」と言われたのは、電気代節約のためでしょう。しかし、ファンを回さないことで熱が部屋全体に循環せず、局所的に暖かくなるだけで、全体が暖まらないという結果になっている可能性があります。ファンを回すことで電気代はかかりますが、部屋全体が暖まるので、結果的に快適性と省エネのバランスを考慮する必要があります。
4. その他の要因
- 家の向きと日当たり:家の向きや窓の位置によっては、日当たりが悪く、日中の暖房効果が期待できない場合があります。
- 外気温:福島県は冬は非常に寒い地域です。外気温が低いと、いくら高気密・高断熱住宅でも、暖房負荷は大きくなります。
- 家具の配置:家具の配置によっては、熱の流れを妨げ、部屋の温度ムラが生じる可能性があります。
具体的な対策とアドバイス
上記の点を踏まえ、具体的な対策を提案します。
1. 隙間風のチェックと対策
- 引き戸の隙間を埋める:引き戸の隙間から隙間風が入り込んでいる場合は、隙間テープやパッキンで隙間を埋めてみましょう。ホームセンターなどで手軽に購入できます。効果がない場合は、専門業者に相談し、より本格的な対策を検討しましょう。
- 窓の断熱対策:窓に断熱シートを貼る、カーテンやブラインドで窓を覆うなどの対策も効果的です。特に、夜間は冷気侵入を防ぐために、しっかりと窓を閉め、カーテンやブラインドを閉めておきましょう。
2. 階段からの冷気対策
- 間仕切り:リビングと階段の間に、カーテンやパーテーションを設置することで、冷気の侵入を防ぎます。簡易的なものから本格的なものまで、様々なタイプがありますので、リビングのインテリアに合うものを選びましょう。
- 2階の暖房:2階の室温を上げることで、階段からの冷気の流れを抑制できます。2階にも暖房器具を設置するか、2階の暖房を強化することで効果があります。
3. 暖房システムの見直し
- 蓄暖の能力見直し:6kWの蓄暖では不足している可能性があります。蓄暖の容量を増やすか、補助暖房として、エアコンや石油ストーブなどを併用することを検討しましょう。エアコンは、部屋全体を効率的に暖めることができます。
- ファン運転の最適化:蓄暖のファンは、常に回し続ける必要はありません。室温を見ながら、適切な時間帯に運転するようにしましょう。タイマー機能などを活用すると便利です。また、サーキュレーターを併用することで、効率的に空気を循環させることができます。
4. その他の対策
- 断熱材の追加:もし、家の断熱性能に不安がある場合は、専門業者に相談して、断熱材を追加するなどの対策を検討しましょう。
- 省エネ対策:窓の断熱対策、適切な暖房の使い方、室温管理など、省エネ対策を徹底することで、電気代を削減できます。
- 専門家への相談:どうしても解決しない場合は、建築士や住宅設備のプロに相談しましょう。原因を特定し、適切な対策を提案してもらえます。
電気代30,000円について
30,000円の電気代は、高気密・高断熱住宅であっても、暖房を長時間使用する場合、特に冬場は妥当な金額かもしれません。しかし、上記で挙げた対策を実施することで、電気代を削減できる可能性があります。
まとめ
高気密・高断熱住宅であっても、様々な要因によって寒さを感じることがあります。まずは、隙間風などの原因を特定し、適切な対策を行うことが重要です。それでも改善しない場合は、専門家への相談を検討しましょう。