電気過敏症とインテリア:安全で快適な空間づくり

オクスフォードで物理学を教えるマイケル・シャリスは『脱・電脳生活』という本の中で、電気とうまく付き合えない「電気アレルギー」の人間たちの驚くべきの事例の数々を語っています。二人の例をあげます。 シャリスは、雑誌などで呼びかけて、電気に病的とも言えるほど過敏な反応をしめす多く人々の体験を収集しました。彼がこうした研究を始めたのは、ノーマという一人の女性に出会ったのがきっかけです。イギリスの電気のない農家で育った少女ノーマは9才とき初めてラジオに触れた。これが最初に出会った電気製品だった。彼女は、ラジオのつまみにちょっと触れたその瞬間に凄い勢いで部屋の隅へ飛ばされた。やがて成人して結婚したノーマにとって電気との深刻な戦いがはじまった。いつもというわけではなかったが、「レコード・プレイヤーに触れたときにもラジオのときと同様に部屋の反対側に飛ばされしまう。」 また、電球は彼女が部屋に入るたびに切れてしまった。同じくイギリスの女性シーラは、異常に静電気を帯びてしまう体質の持主である。それ以外の点ではごく普通の主婦であるが、体に静電気をためこむ能力は通常の範囲をはるかに越えているという。帯電すると、傷つける恐れがあるためペットの犬に触れる事もできない。また、「部屋のスイッチに手を伸ばせば、指の先から5センチも閃光が走る。」さらに「アイロンをかけていると、突然青い閃光が激しく発生し、台所の壁に背中からぶつかっていったこともある。アイロンの底はすっかり吹き飛んでいた。彼女はすでにアイロン、ビデオデッキ、回転式乾燥機をそれぞれ3台壊していた。」 ノーマと同じように彼女が近くにいると電球はすぐ切れてしまうし、取りかえようすれば破裂してしまう。「地元のスーパーマーケットで冷凍棚をよく壊してしまったので、近くの店は彼女を出入り禁止にしているという。」こういう現象について、物理的にありうることだと思いますか?

電気過敏症とは?その症状と原因

マイケル・シャリス氏の著書で紹介されているノーマさんやシーラさんの事例は、極端な例ではありますが、電気過敏症(電磁波過敏症)の可能性を示唆しています。電気過敏症とは、電磁波や静電気などの電気に過敏に反応し、様々な症状を引き起こす状態です。症状は人によって異なり、頭痛、めまい、吐き気、皮膚のかゆみ、倦怠感など、多岐に渡ります。重症の場合、ノーマさんやシーラさんのように、家電製品の故障や身体的な衝撃を伴うこともあります。

科学的な根拠が十分に解明されていない部分も多く、医学的な診断基準も確立されていません。そのため、「病気」として認められていないことも事実です。しかし、多くの患者が苦しんでおり、その症状を軽視することはできません。原因についても、電磁波そのものへの反応、あるいは心理的な要因、またはそれらの複合的な影響などが考えられており、未だ研究段階です。

インテリアにおける電気過敏症への配慮

電気過敏症の方にとって、住環境は非常に重要です。快適で安全な空間を作るためには、以下の点に配慮する必要があります。

1. 電磁波の発生源を特定し、軽減する

* 家電製品の配置:ベッドやソファなど、長時間過ごす場所から家電製品を離しましょう。特に、テレビ、パソコン、冷蔵庫、電子レンジなどは電磁波を多く発生させます。
* 無線LAN(Wi-Fi)ルーターの設置場所:寝室など、長時間滞在する場所から離れた場所に設置し、使用しない時は電源を切るか、ルーター自体をオフにすることも有効です。
* 電化製品の選定:低電磁波製品を選ぶことを検討しましょう。近年では、電磁波の発生が少ない製品も増えてきています。
* 電磁波シールド材の使用:カーテンや壁紙などに電磁波シールド材を使用することで、電磁波の影響を軽減できます。ただし、効果には限界があることを理解しておきましょう。

2. 静電気対策

* 自然素材のインテリア:木や綿、麻などの自然素材は静電気を帯びにくい傾向があります。カーペットやカーテン、家具などに自然素材を取り入れることで、静電気の発生を抑制できます。
* 加湿器の使用:乾燥した空気は静電気を発生しやすいため、加湿器で湿度を調整しましょう。
* アースの確認:家電製品のアース線がしっかり接続されているか確認しましょう。アース接続は静電気の放電に役立ちます。
* 除電グッズの活用:除電スプレーや除電ブラシなどを活用して、静電気を除去しましょう。

3. 照明の工夫

* LED照明の採用:LED照明は蛍光灯に比べて電磁波の発生が少ないと言われています。
* 間接照明の活用:直接的な光を避け、間接照明を効果的に使うことで、リラックスできる空間を作ることができます。
* 自然光を最大限に利用する:カーテンやブラインドなどを工夫して、自然光を効果的に取り入れましょう。

インテリアデザインにおける具体的な提案

グレーは、落ち着きがあり、電磁波対策にも適した色です。グレーの壁や家具は、空間を広く見せ、リラックス効果も期待できます。

グレーを基調としたインテリア例

* 壁:グレーのクロスやペイントを使用。
* 床:グレーのカーペットやフローリング。
* 家具:グレーのソファやチェア、木製家具。
* カーテン:グレーの遮光カーテン。電磁波を遮断する効果のある遮光カーテンを選ぶことも可能です。
* 照明:LED照明、間接照明を効果的に配置。

専門家の視点

電気過敏症の症状は、個人差が大きく、原因も解明されていない部分が多いのが現状です。そのため、専門医への相談が不可欠です。医師の診断に基づいて、適切な治療や生活指導を受けることが重要です。また、インテリアの専門家や建築士に相談することで、個々の状況に合わせた最適な住環境づくりが可能になります。

まとめ

電気過敏症の方にとって、安全で快適な住環境を作ることは、生活の質を大きく左右します。電磁波や静電気への配慮、自然素材の活用、適切な照明など、様々な工夫によって、より過ごしやすい空間を実現できます。専門家のアドバイスを受けながら、自分にとって最適なインテリアを選び、安心して暮らせる住まいを目指しましょう。

ネットで買うなら?いろのくにのおすすめインテリア(PR)