Contents
賃貸物件の清掃状況と修繕義務:入居者の権利と注意点
賃貸物件に入居後、清掃状態に問題がある場合、修繕や交換を依頼できるかどうかは、物件の状態、損傷の程度、そして契約内容によって大きく異なります。今回のケースでは、築6年の物件で、清掃済みとされていますが、入居後に気になる点が複数見つかったとのことです。具体的に、キッチンのステンレス部分の焦げ跡や色移り、シンクの水垢、壁の汚れなどを挙げられています。
貸主の修繕義務と「現状渡し」について
まず重要なのは、民法上の「修繕義務」です。貸主は、賃貸物件を「使用・収益に適する状態」で提供する義務があります。これは、入居時に「普通に使用できる状態」であることを意味します。ただし、「現状渡し」という条件が付いている場合、現状の状態を承知の上で契約していることになります。しかし、「現状渡し」であっても、明らかに使用に支障があるような重大な瑕疵(かし)は、貸主が修繕する義務があります。
ケースごとの検討:焦げ跡、色移り、水垢、壁の汚れ
それでは、それぞれのケースについて、貸主の修繕義務の有無を検討してみましょう。
①キッチンのコンロ置き場横のステンレス板の焦げ跡
小さな傷や焼け跡は、前入居者の使用によるものと考えられます。程度にもよりますが、日常生活に支障がない程度の軽微なものは、経年劣化として認められる可能性が高いです。しかし、ステンレス板全体に広範囲にわたる焦げ跡や、穴が開いているなど、著しい損傷がある場合は、修繕または交換を請求できる可能性があります。写真や動画で証拠を残しておくことが重要です。
②キッチン下の収納部分のステンレス床の前入居者がつけた、物を置いた跡(色写り?)
これも前入居者の使用によるものと考えられます。色移りが軽微であれば、経年劣化として扱われる可能性が高いです。しかし、日常生活に支障をきたすレベルの色移りや、ステンレスの変色、腐食などが認められる場合は、修繕または交換を請求できる可能性があります。こちらも証拠となる写真を撮影しておきましょう。
③キッチンのシンク内の水跡(カルキ跡?)
シンクの水垢は、長期間の使用によるものであれば、経年劣化と判断される可能性が高いです。ただし、清掃しても落ちないような頑固な水垢や、シンクに穴が開いているなどの損傷がある場合は、修繕または交換を請求できる可能性があります。
④リビング、収納内の壁の汚れ、痛み
壁の汚れや痛みは、程度によって判断が異なります。軽い汚れであれば、入居者自身で清掃できる範囲かもしれません。しかし、大きな汚れや、剥がれ、穴など、明らかに使用に支障がある状態であれば、修繕または交換を請求できる可能性があります。特に、カビや湿気による損傷は、貸主の責任となる可能性が高いです。
管理会社との交渉:具体的な対応策
管理会社は、「新築ではないので交換は難しい」としていますが、「使用に適する状態」を維持する義務は、築年数に関わらず存在します。まずは、管理会社担当者に見てもらい、写真や動画などを提示して、損傷の程度を明確に伝えましょう。
具体的な交渉ステップ
1. 証拠写真の提示:全ての気になる箇所を写真や動画で撮影し、管理会社に提出します。
2. 具体的な問題点の指摘:単に「汚い」ではなく、「コンロ横のステンレスに直径5cmの焦げ跡がある」「シンクに頑固な水垢があり、清掃しても落ちない」など、具体的な問題点を明確に伝えましょう。
3. 修繕または交換の要求:具体的な修繕内容(例:ステンレス板の交換、壁の補修、シンクの磨きなど)と、その根拠を説明します。
4. 交渉の記録:メールや電話でのやり取りは、記録を残しておきましょう。
5. 専門家の意見の活用:必要であれば、不動産会社や弁護士などに相談し、専門家の意見を参考に交渉を進めましょう。
6. 書面での回答を求める:口頭での約束ではなく、書面で回答をもらうようにしましょう。
専門家の視点:弁護士や不動産会社への相談
交渉が難航する場合は、弁護士や不動産会社に相談することをお勧めします。専門家は、法律的な観点からアドバイスをしてくれるので、より有利に交渉を進めることができます。
まとめ:賃貸物件の清掃状態と修繕、諦めないで交渉を
賃貸物件の清掃状態に問題がある場合、諦めずに交渉することが重要です。証拠をしっかり残し、具体的な問題点を明確に伝えることで、貸主が修繕または交換に応じてくれる可能性があります。交渉が難航する場合は、専門家の力を借りるのも有効な手段です。快適な生活を送るためにも、積極的に行動しましょう。