賃貸更新料請求に関するQ&A:法定更新と更新料特約

先日、賃貸人から更新料を請求されました。事案の概要は以下の通りです。私は2006年2月に、仲介業者Aを介して、Y(個人)との間で都内マンションの一室(3DK)を期間2年賃料12万円で借りました。この契約書には「契約更新する場合は、更新料として家賃1カ月分を支払わなければならない。」という条項がありました。しかし、契約更新手続きは行われずに、今まで私は家賃を支払いつづけていました。ところが、最近になって、賃貸人から、「今まで更新手続きをするのを忘れていたからすぐに更新手続きをしたい。今まで(つまり、2008年時と2010年時)2回更新をしているはずであるから、二か月分の更新料を払っていただきたい。」との連絡を受けました。私は、2011年8月には、この部屋を出て行こうと考えております。請求に私は、納得できません。H21年の大阪高裁の判断を前提して、どうにか更新料支払いを拒絶できませんか??最悪、一カ月分に減額してもらうようできませんか?近々、賃貸人と話し合おうと考えてるのですが、どのような主張ができるとおもいますか?法的主張・交渉方法等教えてください。ちなみに賃貸人は司法書士です。かなり悩んでます。補足契約書を確認したところ、私とYとの賃貸借契約は法定更新されていることが判明しました。この場合は更新料を支払う義務はないのですか?なぜ法定更新の場合、更新料を支払う義務がないのでしょうか?借地借家法26条によれば、「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。」とあります。とすれば、更新料特約もそのまま継続されるのではないのでしょうか?

賃貸借契約の法定更新と更新料請求の問題点

ご質問は、賃貸借契約の法定更新と更新料請求に関する非常に重要な問題です。契約書に更新料の特約があるにも関わらず、法定更新が成立した場合、更新料の支払義務の有無についてご心配されているとのことですね。 賃貸人は司法書士とのことですので、専門的な知識に基づいた対応が必要になります。

法定更新とは?

まず、借地借家法第26条に基づく法定更新について理解しましょう。 これは、定期借家契約でない限り、賃貸借契約が満了しても、借主が更新を申し出れば、原則として従前の契約と同一の条件で更新されるという制度です。 重要なのは「同一の条件」という部分です。

法定更新と更新料特約の解釈

ご質問の核心は、「同一の条件」に更新料特約が含まれるかどうかです。 借地借家法26条は「同一の条件」と規定していますが、最高裁判例や判例では、更新料特約は「不当に高額でない限り」有効とされています。 つまり、契約書に明記されている更新料が、常識的に見て妥当な範囲内であれば、法定更新後もその特約が継続される可能性が高いのです。

しかし、今回のケースでは、重要な点がいくつかあります。

* 更新手続きが行われていなかった点:契約書に更新料特約があったとしても、賃貸人が更新手続きを怠り、法定更新に持ち込まれたという経緯があります。これは、賃貸人の不作為によるものであり、更新料請求の正当性を弱める可能性があります。
* 2回分の更新料請求:賃貸人は2回分の更新料を請求していますが、更新手続きがなされていなかったことを考慮すると、この請求は過剰であると主張できます。
* 2011年8月に退去予定:すぐに退去する予定であることも、更新料支払いの必要性を弱める要素となります。

賃貸人との交渉に向けた具体的な主張と戦略

賃貸人との話し合いでは、以下の点を主張すべきです。

1. 更新手続きの不履行

賃貸人が更新手続きを怠ったため、法定更新となり、更新料請求は不当であると主張しましょう。 契約書に更新料特約があったとしても、賃貸人の不作為によって法定更新に至った経緯を明確に説明し、その責任を問う必要があります。 具体的には、契約書のコピー、家賃領収書などを証拠として提示しましょう。

2. 更新料請求額の過剰性

2回分の更新料請求は過剰であると主張します。 法定更新が認められたとしても、過去に遡って更新料を請求できる根拠は弱く、せいぜい1回分(契約書に記載されている通り)が妥当と考えられます。 大阪高裁の判例を参考に、不当な請求であることを明確に伝えましょう。

3. 退去予定の告知

2011年8月に退去予定であることを伝え、更新料を支払う必要性が低いことを強調しましょう。 更新を希望しない以上、更新料を支払う義務はないと主張できます。

4. 弁護士や司法書士への相談

賃貸人が司法書士であるため、専門家同士の話し合いが必要になる可能性があります。 弁護士または司法書士に相談し、法的アドバイスを得ることをお勧めします。 専門家の助言を得ることで、より効果的な交渉を進めることができます。

交渉における注意点

* 証拠をしっかり準備する:契約書、家賃領収書、メールのやり取りなど、全ての証拠を整理して、話し合いに臨みましょう。
* 冷静に、事実を述べる:感情的にならず、冷静に事実を説明することが重要です。 相手は司法書士なので、論理的な説明が求められます。
* 記録を残す:話し合いの内容を記録に残しましょう。 メモを取るか、録音・録画の許可を得ることを検討しましょう。
* 書面での合意を目指す:口頭での合意はトラブルの元になります。 合意に至った場合は、必ず書面で確認しましょう。

まとめ:法定更新と更新料請求に関する解決策

法定更新の場合でも、更新料特約が有効である可能性はありますが、今回のケースでは賃貸人の不作為、請求額の過剰性、退去予定などを考慮すると、更新料支払いを拒否、もしくは減額交渉できる可能性は十分にあります。 しかし、相手は司法書士であるため、専門家への相談は必須です。 冷静に、証拠に基づいた主張を行い、書面での合意を目指しましょう。 交渉が難航する場合は、裁判も視野に入れておくべきです。

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