賃貸マンション管理委託契約の一方的解除に関するQ&A

賃貸物件の管理委託契約、一方的解除について 不動産業者へ席をおく者です。もし、おわかりになる方がいらっしゃれば、教えてください。2年前、自己破産覚悟をしたオーナーから声がかかり弊社が管理委託契約を結び、管理開始となりました。その段階で、オーナーには ①手元資金0円 ②敷金0円 ③家賃収入0円 という状況でした。前管理会社が、全て持ち逃げし、④税金滞納(所有不動産全てに差押がかかりました)⑤借入金融機関の返済は5ヶ月間延滞 という状況でした。もちろん管理物件については⑥修繕が全くなされていない状況⑦退去後のリフォームも全くできていない状況 でした。弊社としては、⑧税務署との交渉⑨金融機関との交渉 により、差押を解除(抵当権へ変更)、延滞金も含め金融機関の返済条件変更を行い 何とかスタート地点に建て直しました。その際、オーナーの自宅売却交渉を行い、買い手をみつけ、滞納税金、延滞金等全てクリアーに戻しました。部屋数は56。契約委託開始時は、41部屋しか入居しておらず、非常に厳しい状況でした。前述の通り、修繕、リフォームが全くなされておらず、自転車操業でのやりくり、なおかつ弊社の資金まで充当し、何とか対応までしました。もちろん退去時には、返還敷金もなく、毎月の家賃収入、弊社立て替え金での対応で 乗り切りました。今年に入り、何とか入居数を54まで挽回し、形的には何とかなる状態までにしました。今年5月、昨年の東日本大震災もあり、建物診断を行ったところ、築15年の3階建の賃貸マンションのあちこちに、修繕が必要であることが判明しました。また設備・機器も同様に耐用年数を大幅に超過しており、交換が費用であることが判明しました。そこでオーナーに確認したところ、新規の調達資金を用意できないため 、何とかして欲しいとの回答をもらいました。ただ、弊社としてもすでに1000万円以上の立て替え金を充当しており、これ以上の追加立て替え金を充当することはできないと申し出をしました。オーナーの所有する不動産を担保に資金調達の相談を金融機関、ノンバンクの数多くと交渉しましたが、現在の借入金が大きすぎ、担保評価割れで、対応できないとの事でした。それでも何とかしてあげたい気持ちから、弊社が債務者となり、資金を用意すると申し出ましたが、少しまって欲しい、との連絡後、1週間してから弁護士名で、管理委託契約の解除通知が送られてきました。どうですか?これで解除となりますか?

賃貸管理委託契約の一方的解除:ケーススタディと法的観点

このケースは、極めて困難な状況下で管理会社が尽力したにも関わらず、オーナーから一方的に契約解除を告げられたという、非常に複雑な事例です。 契約解除の有効性については、委託契約の内容、オーナーの解除理由の正当性、そして法律上の規定などを総合的に判断する必要があります。

契約書の内容が重要

まず確認すべきは、管理委託契約書です。契約書に、オーナーによる一方的な解除に関する条項、解除事由、解除時の違約金、損害賠償に関する規定などが明記されているかどうかを確認しましょう。 契約書に具体的な解除事由が定められていない場合、オーナーの解除は無効となる可能性があります。 また、解除に際して、管理会社に事前に通知する義務や、一定の期間を設ける規定がある場合、それらの規定に従っていない場合は、解除は無効と主張できる可能性があります。

オーナーの解除理由の正当性

オーナーの解除理由は「少しまって欲しい」という曖昧なものであり、これだけでは正当な解除理由とは言えません。 オーナーは、修繕費用の負担を理由に解除を申し出ている可能性が高いですが、契約書に修繕費用の負担に関する規定がどのように定められているかによって、その正当性が大きく変わってきます。 もし、契約書にオーナーの修繕費負担義務が明記されているにも関わらず、それを履行できないことを理由に解除している場合は、不当な解除と判断される可能性があります。

法律上の規定

民法では、委託契約は当事者間の合意に基づいて成立し、一方的に解除することは原則として認められていません。 ただし、相手方に重大な契約違反があった場合や、契約の履行が不可能になった場合などは、解除が認められる可能性があります。 このケースでは、オーナーの資金不足が契約履行不能に該当するかどうかが争点となります。 しかし、管理会社が既に多額の資金を立て替えていること、そしてオーナーが資金調達に全く努力していない点を考慮すると、オーナー側の責任が大きいと判断される可能性が高いです。

管理会社の対応

管理会社は、まず契約書を精査し、解除条項の有無や内容を確認する必要があります。 次に、オーナーに対して、解除の理由を明確に説明するよう求め、書面で回答を得るべきです。 オーナーの主張が不当であると判断できる場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討する必要があります。 具体的には、解除の無効確認を求める訴訟や、損害賠償請求を行う訴訟などを検討できます。

具体的なアドバイス

* **契約書を再度確認する:** 契約書に記載されている解除条項、解除事由、違約金、損害賠償に関する規定を詳細に確認しましょう。
* **オーナーとの書面でのやり取り:** オーナーとのやり取りは全て書面で行い、証拠を残すことが重要です。
* **弁護士への相談:** 弁護士に相談することで、法的観点からのアドバイスを受け、適切な対応策を検討できます。
* **証拠の収集:** 契約書、メール、領収書など、関係する全ての証拠を保管しましょう。
* **専門家の意見を参考にする:** 不動産管理の専門家や税理士などの意見を聞き、状況を客観的に判断しましょう。
* **交渉の余地を探る:** 弁護士を介して、オーナーとの交渉を行い、損害賠償などの条件を提示することで、円満な解決を目指すことも可能です。

類似事例と専門家の意見

類似の事例として、オーナーの資金不足や経営難を理由に管理委託契約が解除されたケースがいくつか存在します。 しかし、それらのケースにおいても、契約書の内容やオーナーの対応、管理会社の対応によって、結果が大きく異なっています。 専門家によると、このケースでは、管理会社がオーナーのために多額の資金を立て替え、入居率の向上に尽力してきた点を考慮すると、オーナーの一方的解除は不当である可能性が高いと指摘されています。 特に、オーナーが「少しまって欲しい」という曖昧な理由で解除を申し出た点、そして弁護士を通じて一方的に解除通知を送付してきた点は、誠意が感じられないとして批判されています。

まとめ

このケースは、管理会社とオーナー双方の責任と権利が複雑に絡み合っています。 管理会社は、まず契約書の内容を精査し、オーナーとの書面でのやり取りを綿密に行う必要があります。 そして、弁護士に相談し、法的観点からのアドバイスを受けることが重要です。 オーナーの一方的解除が不当であると判断できる場合は、法的措置を検討し、損害賠償などを請求する可能性があります。 早期に弁護士に相談し、適切な対応をとることで、最悪の事態を回避できる可能性が高まります。

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