Contents
賃貸における修繕義務と家主の責任
5年間も放置されている状況は、明らかに家主(不動産会社)の修繕義務違反です。賃貸借契約において、家主は、借家人に「安静かつ平和に居住できる状態」を維持する義務を負っています(民法606条)。 今回のケースでは、湿気による被害、エアコンの水漏れ、カーテンレールの破損、給湯器の故障など、居住の安全・快適性を著しく阻害する状況が複数存在します。 さらに、入居時の状態(古い鍵、不十分なクリーニング、クローゼットの破損)も、契約違反の可能性があります。
家主の修繕義務と具体的な対応
家主は、これらの問題に対して適切な修繕を行う義務があります。 「後日新しいのを持ってきます」といった曖昧な対応を繰り返すだけでは不十分です。具体的な修繕計画(いつまでにどのような修繕を行うか)を示してもらうよう、書面で要求しましょう。 内容証明郵便を使用すれば、証拠として残せるのでより効果的です。
家賃減額の可能性
修繕が長期間にわたって放置され、居住環境が著しく悪化している場合、家賃の減額を請求できます。減額の割合は、被害の程度によって異なりますが、修繕ができない部分の家賃相当額を減額できる可能性があります。 例えば、湿気のために使用できない部屋がある場合、その部屋分の家賃を減額できる可能性があります。 これも、書面で減額請求を行いましょう。
自己修繕費用の請求
入居時から存在した瑕疵(欠陥)について、あなたが自己負担で修繕した場合、その費用を家主へ請求できます。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
ネットで買うなら?いろのくにのおすすめインテリア(PR)
- 瑕疵が、入居時にすでに存在していたことを証明する必要があります。写真や証人など、証拠をしっかり準備しましょう。
- 修繕が緊急を要するものであったこと。放置するとさらに大きな被害につながる可能性があったことを示す必要があります。
- 修繕費用が妥当であること。相場価格を調べ、領収書などを保管しておきましょう。
- 家主への事前連絡。可能であれば、修繕を行う前に家主へ連絡し、状況を説明しておくのが望ましいです。
給湯器の交換費用は、入居時から故障していたことを証明できれば、請求できる可能性が高いです。 ただし、高額な修繕を行う前に、家主と相談し、合意を得ることが重要です。
専門家への相談
現状の状況を改善するには、専門家の力を借りることをお勧めします。
弁護士への相談
弁護士に相談することで、法的観点からのアドバイスを受け、家主との交渉を有利に進めることができます。 弁護士費用はかかりますが、将来的な損失を考えると、費用対効果が高いと言えるでしょう。
不動産会社への相談
家主が不動産会社である場合、その不動産会社に直接相談することもできます。 しかし、すでに何度も連絡しているにもかかわらず改善が見られないことから、効果は期待できない可能性もあります。 弁護士に相談する前に、最後の手段として、不動産会社の上司や管理部門に連絡してみるのも良いでしょう。
自治体への相談
居住環境の悪化が深刻な場合は、自治体の住宅相談窓口に相談することもできます。 自治体は、家主に対して改善を促すことができます。
具体的な行動計画
1. 証拠集め:写真、動画、修理見積書、家主との連絡記録などを全て保存しましょう。
2. 内容証明郵便で請求:家主に対して、具体的な修繕内容、期限、家賃減額請求、自己修繕費用の請求を内容証明郵便で送付します。
3. 専門家への相談:弁護士または自治体の住宅相談窓口に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けましょう。
4. 記録の保持:全てのやり取りを記録に残し、今後の交渉に備えましょう。
まとめ
長年放置された賃貸住宅の問題は、家主の責任が大きいと言えます。 放置せず、積極的に行動することで、居住環境の改善、家賃減額、自己修繕費用の回収の可能性が高まります。 専門家の力を借りながら、毅然とした態度で対応することが重要です。 諦めずに、あなたの権利を守りましょう。