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賃貸マンションにおけるシロアリ被害と家主・管理会社の責任
賃貸マンションでシロアリが発生した場合、家主または管理会社に駆除費用や移転費用などの負担を求めることができます。 民法616条では、賃貸物件の瑕疵(欠陥)について、家主は修繕義務を負うと規定されています。シロアリ被害は、建物の構造上の欠陥に該当する可能性が高く、家主の修繕義務の対象となります。ただし、借主の過失による被害を除きます。
今回のケースでは、築10年のRC造マンションのベニヤ部分からのシロアリ発生という特殊な状況ですが、2年連続の発生は、建物の管理状態に問題があった可能性を示唆します。 家主・管理会社は、定期的な建物の点検を行い、シロアリ被害を未然に防ぐ義務があります。
① 引越し費用と現状復帰費用について
大家がシロアリ駆除費用が高額と判断し、同マンション内の別の部屋への転居を提案してきた場合、引越し費用は家主が負担するのが一般的です。 これは、シロアリ被害が家主の責任であるとみなされるためです。
現状復帰費用については、複雑です。
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- 現在の部屋:シロアリ被害による損傷部分の修繕は、家主の責任です。借主は、シロアリ被害以外の通常の損耗部分についてのみ現状復帰費用を負担します。
- 新しい部屋:新しい部屋への引越しに伴う現状復帰費用は、通常の退去時と同様に、借主が負担します。ただし、引越しによる損傷は、家主が負担するべきです。
つまり、現状復帰費用を「二度払い」する必要はありません。 家主には、それぞれの部屋における責任範囲を明確に説明する義務があります。 もし、家主が不当な現状復帰費用を請求してきた場合は、証拠となる写真や動画などを残し、管理会社や弁護士に相談することをお勧めします。
② シロアリ駆除と引越しが拒否された場合の対処法
家主・管理会社がシロアリ駆除と引越しを拒否した場合、以下の手段を検討しましょう。
- 書面による請求:内容証明郵便で、シロアリ被害の状況、家主の修繕義務、損害賠償請求などを明確に記した書面を送付します。これは、法的措置を取る際の重要な証拠となります。
- 専門家への相談:弁護士や不動産会社などに相談し、法的措置の可能性や交渉の戦略についてアドバイスを求めます。専門家の介入は、家主・管理会社との交渉を有利に進める上で効果的です。
- 家賃減額請求:シロアリ被害により、居住環境が著しく悪化している場合は、家賃減額請求を行うことができます。減額の割合は、被害の程度によって異なります。
- 裁判:交渉がまとまらない場合は、最終手段として裁判を検討します。裁判では、シロアリ被害の写真、動画、専門家の意見書などが証拠として提出されます。
③ その他のアドバイス
- 証拠の確保:シロアリ被害の写真や動画を撮影し、記録を残しておきましょう。これは、家主・管理会社との交渉や裁判において重要な証拠となります。被害の状況、発生場所、駆除業者からの報告書なども保管しておきましょう。
- 記録の保管:管理会社とのやり取り、家主との連絡記録なども全て保管しておきましょう。メールや電話の内容をメモに残したり、書面でやり取りすることを心がけましょう。
- 専門業者への相談:シロアリ駆除業者に改めて相談し、被害状況の正確な診断と、駆除費用に見合う見積もりを作成してもらいましょう。複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することも有効です。
- 消費者センターへの相談:解決に苦慮する場合は、お住まいの地域の消費者センターに相談してみましょう。相談窓口として、適切なアドバイスや情報提供を受けることができます。
専門家の視点:シロアリ被害と家主の責任
不動産専門家の視点から見ると、今回のケースは、家主・管理会社の責任が問われる可能性が高いです。2年連続のシロアリ発生は、建物の管理状態に問題があったことを示唆しており、定期的な点検や予防措置が不十分であった可能性があります。 RC造であっても、ベニヤ部分などシロアリが侵入しやすい箇所は存在します。家主は、建物の構造上の弱点も考慮し、適切な管理を行う必要があります。
まとめ
賃貸マンションでのシロアリ被害は、家主・管理会社の責任が問われる可能性が高い問題です。 冷静に証拠を収集し、書面による請求、専門家への相談などを検討することで、適切な解決策を見つけることができるでしょう。 交渉が難航する場合は、裁判も視野に入れる必要があります。 しかし、まずは家主・管理会社との話し合いを重視し、円満な解決を目指しましょう。