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認知症と精神疾患の違い
まず、認知症と精神疾患の違いについて明確にしておきましょう。認知症は、脳の病気によって記憶力や思考力、判断力などが低下する状態です。アルツハイマー型認知症や血管性認知症などが代表的です。一方、精神疾患は、気分、思考、行動などに障害が生じる病気の総称で、うつ病、統合失調症、不安障害などが含まれます。 重要なのは、認知症と精神疾患は共存することがあるということです。高齢者においては、認知症を患っている人が同時にうつ病や不安障害などの精神疾患を併発するケースは珍しくありません。
80代高齢者の行動:認知症と精神疾患の合併の可能性
ご質問の高齢者の症状は、認知症によるものと精神疾患によるものの両方の可能性があります。
認知症の可能性を示唆する症状
* 「寒くて眠れない」という訴え:現実には暖かくても寒さを感じるのは、認知症の症状としてよくあることです。感覚の異常や、現実と認識のずれが生じている可能性があります。
* 他者への攻撃的な言動:認知症が進行すると、感情のコントロールが難しくなり、攻撃的になったり、他者を非難したりすることがあります。これは、記憶障害や判断力の低下によって、周囲の状況を正しく理解できなくなっているためと考えられます。
* 部屋のドアの乱暴な開閉:これも、感情の制御が困難になっていることを示唆しています。
精神疾患の可能性を示唆する症状
* 気分の不安定さ、感情の起伏:うつ病や不安障害では、気分の落ち込みや不安感が強くなり、感情の起伏が激しくなります。
* 夜間の症状の悪化:多くの精神疾患は、夜間に症状が悪化する傾向があります。
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具体的な対応策
ご質問の高齢者の症状は複雑で、原因を特定するには専門家の診断が必要です。「物忘れ外来」を受診されているとのことですが、精神科医への受診も検討することをお勧めします。認知症と精神疾患の両方に対応できる専門家の意見を聞くことが重要です。
介護職員としての対応
現状の施設の体制では、十分なケアを提供することが難しい状況であることは理解できます。しかし、できる限りの対応を行う必要があります。
1. 安静な環境の確保
* 夜間の寒気訴えへの対応:高齢者が寒さを感じていると訴える場合、毛布を追加したり、暖房の温度を調整したりするなど、本人の訴えに耳を傾け、出来る範囲で対応しましょう。ただし、現実の温度と訴えにずれがある場合、その点を記録し、医師に相談する必要があります。
* 騒音の軽減:夜間の騒音は、高齢者の不安感を増幅させる可能性があります。他の入居者との距離を保つ工夫や、騒音源の対策を検討しましょう。
* 落ち着ける空間の提供:個人の居室を落ち着ける空間にする工夫をしましょう。好きな写真や小物などを飾ったり、リラックスできる音楽を流したりするのも効果的です。
2. コミュニケーションの工夫
* 穏やかな言葉遣い:高齢者に対しては、常に穏やかで優しい言葉遣いを心がけましょう。
* 共感的な姿勢:高齢者の感情に共感し、話をじっくりと聞いてあげることが大切です。たとえ、発言の内容が事実と異なっていても、感情を否定せず、まずは受け止めましょう。
* 簡潔な指示:指示は簡潔で分かりやすく伝えましょう。複雑な指示は、高齢者の混乱を招く可能性があります。
* 非難や批判は避ける:高齢者を非難したり、批判したりすることは、かえって状況を悪化させる可能性があります。
3. 行動の観察と記録
* 詳細な記録:高齢者の言動や症状の変化を詳細に記録しましょう。記録は、医師への報告や、適切なケアを行う上で非常に重要です。
* パターン把握:いつ、どのような状況で、どのような行動をとるかを記録することで、行動のパターンを把握し、予防策を立てることができます。
4. チーム医療との連携
* 医師や看護師との連携:高齢者の状態を医師や看護師に報告し、適切な指示を仰ぎましょう。
* ケアマネージャーとの連携:ケアマネージャーと連携し、必要なサービスの利用を検討しましょう。
5. 職員の負担軽減
現状の職員不足は深刻な問題です。施設運営側には、人員配置の改善を強く求めるべきです。また、職員同士の連携を強化し、負担を共有するシステム作りも必要です。定期的な研修や、相談できる体制を整えることも重要です。
専門家の視点
認知症高齢者のケアは、専門的な知識とスキルが必要です。介護職員の研修を充実させ、多職種連携を強化することで、より質の高いケアを提供できるようになります。
まとめ
80代の高齢者の症状は、認知症と精神疾患が合併している可能性が高いです。専門医の診断と適切な治療、そして、介護職員の丁寧なケアが不可欠です。職員の負担軽減のためにも、施設側の体制改善が強く求められます。 記録を詳細にとり、医師やケアマネージャーと密に連携することで、高齢者の状態を改善に導くことができるでしょう。