閲覧、ありがとうございます。私の職場は医療付きの３階建て老人寮です。その認知症の利用者さんが来られてから、半月ほどが経ちました。その方は車椅子の方なのですが、昼夜問わず徘徊されるので夜間どう対応したらいいか困っています。皆さんのアドバイスが貰えたら、と質問させて頂きます。【入所者様情報】80代後半、男性、認知症。車椅子の自操、問題無し。歩行は難しいしご本人も立ち上がろうとする事は有りません。自室の施錠を開けて出てくる事は可能。２階に居住されていますがエレベーターに乗る事は出来ます（中に入ったら操作はできません）歌が大好きな方です。入口に体感知のセンサーを使用しており、居室から出入りした際はステーションへ知らされる仕組みになっています。遠方出身で、昼夜問わず帰宅願望にて徘徊。都度説明や気を紛らわせる対応を重ねるが5分～10分程で再び帰宅願望からの徘徊が始まる。家族はなし。何かあれば後見人に連絡する事となっている。【住環境とスタッフの勤務環境】３階建てのエレベーター付き住宅。全個室で各部屋、内側からも外側からも解錠や施錠が可能（外側からはマスターキー使用で解錠、施錠が可能）基本こだわりがなければ皆さん施錠はしません(入所者の２割くらいは自分で施錠しています)夜間は夜８時から翌日７時まで職員が一人で対応。何かあれば看護師がオンコールを持っているので対応する事となっているが｢よっぽどの大事でもなければ呼ぶな｣と当直対応の看護師から言われている。全入居者20名（内３時間おきのオムツ交換と2時間おきの体交が必要な方は5名）【困っている事】職員一人で夜８時～翌日8時まで対応するため、オムツ交換の時間がかかった際に該当の利用者がエレベーター内に閉じ込められる、または他利用者の居室にあちこち入り、話しかけたりものをあちこち触ることで苦情(怒りだす、喧嘩になるなど)が起こる。※他利用者に軽い説明と謝罪は都度行っており、施錠を勧めているが｢あっちをなんとかしろ｣と言われる。睡眠薬は処方されているが２時間程度しか効かないし、全く効かず夜間通して起きて動き回るときもある。訴えは全て｢帰りたい、俺はなんとしても帰るんだ｣と言う一念の様です。その利用者さんも心配ですし、その利用者さんが心配で他の方のケアをちゃんと丁寧にしてあげられないのが辛いです。ご助言、宜しくお願い致します。補足スタッフの勤務体系に誤りがありました。正しくは夜８時から翌朝の８時まで一人で対応(オンコール)です。その利用者さんとの関わり、そして通常業務との兼ね合いも考慮した上で何か良い策が有りましたらアドバイスを宜しくお願い致します。
Contents
夜間徘徊への対応：多角的なアプローチ
認知症高齢者の夜間徘徊は、ご本人だけでなく、介護職員にとっても大きな負担となる問題です。 今回のケースでは、一人での夜勤体制、他の入居者への配慮、そしてご本人の強い帰宅願望といった複雑な要素が絡み合っています。 解決策は、単一の施策ではなく、多角的なアプローチが不可欠です。
1. 徘徊の原因究明と個別ケアプランの作成
まず、徘徊の原因を特定することが重要です。 単なる帰宅願望だけでなく、身体的な不快感（痛み、便秘など）、精神的な不安、環境の変化など、様々な要因が考えられます。 医療機関と連携し、身体的な問題がないか確認し、必要であれば適切な治療を受けさせることが重要です。
- 医師との連携： 徘徊の原因を特定するため、主治医に相談し、身体的な問題（痛み、不眠、便秘など）がないか確認しましょう。必要であれば、薬剤の見直しなども検討します。
- 記録の徹底： 徘徊の頻度、時間帯、状況などを詳細に記録します。記録を分析することで、徘徊のパターンや原因が見えてくる可能性があります。
- 個別ケアプランの作成： ご本人の個性、嗜好、能力を考慮した個別ケアプランを作成します。これは、徘徊対策だけでなく、日中の活動や生活全般を包括的に計画する必要があります。
2. 環境調整による徘徊抑制
物理的な環境調整も効果的です。
- 居室環境の見直し： 居室を明るく、温かく、安全に保ちましょう。落ち着ける空間を作ることで、徘徊を抑制する効果が期待できます。写真や思い出の品を飾るのも良いでしょう。夜間は、間接照明などを活用して、リラックスできる雰囲気を作ることを心がけましょう。
- センサーの活用： 既に体感知センサーは導入されていますが、徘徊の兆候を早期に察知し、対応できるよう、センサーの位置や感度を調整するなど、システムの見直しを検討しましょう。 さらに、徘徊防止用のセンサーマットなどを追加導入することも検討できます。
- エレベーターの対策： エレベーターへのアクセスを制限する必要があるかもしれません。 エレベーターのボタンを隠したり、鍵をかけるなど、安全性を確保しつつ、アクセスを制限する工夫が必要です。 ただし、緊急時の対応も考慮する必要があります。
- 夜間の照明： 夜間の照明を適切に調整することで、徘徊を抑制できる場合があります。 明るすぎると逆に興奮状態を招く可能性があるため、間接照明などを活用し、落ち着いた雰囲気を作るのが重要です。
3. 認知症への理解と適切な声かけ
認知症の方への対応は、一般の人とは異なります。 「帰りたい」という強い思いは、ご本人の現実認識と乖離したものであり、論理的な説明は効果がありません。
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- 共感と安心感を与える： 「帰りたい気持ち、よく分かります。」と共感し、安心感を与えましょう。 無理強いせず、穏やかに寄り添うことが大切です。
- 歌の活用： ご本人が歌が好きとのことですので、歌を歌ってあげたり、一緒に歌ったりすることで、気持ちを落ち着かせることができます。 好きな歌をリストアップし、いつでも歌えるように準備しておきましょう。
- 思い出話： 懐かしい思い出話をすることで、落ち着きを取り戻すことができる場合があります。 写真やアルバムなどを活用しましょう。
- リダイレクション： 徘徊を始めたら、別の活動に誘導する「リダイレクション」という手法が有効です。 例えば、「お茶を飲みませんか？」「一緒に歌を歌いませんか？」など、具体的な提案をしてみましょう。
4. スタッフ体制の見直しと外部支援の活用
夜間一人での対応は非常に負担が大きいため、体制の見直しが必要です。
- 人員配置の見直し： 夜間勤務の人員を増やす、または、夜勤体制の見直しを検討しましょう。 施設長や関係部署と相談し、現実的な解決策を探ることが重要です。
- 外部サービスの活用： 夜間訪問介護サービスや、専門の相談機関（認知症サポートセンターなど）に相談し、支援を仰ぎましょう。 専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な対策を立てることができます。
- オンコール体制の見直し： 看護師への連絡をためらわずに済むよう、オンコール体制の見直しを検討しましょう。 必要に応じて、看護師と連携し、適切な対応をとる必要があります。
5. 後見人との連携
ご本人に家族がいないため、後見人との連携が重要になります。
- 定期的な連絡： 後見人に定期的に状況を報告し、相談しながら対応を進めることが大切です。
- 意思決定の共有： 重要な意思決定を行う際には、後見人の同意を得る必要があります。
まとめ：継続的な努力とチームワークが重要
認知症高齢者の夜間徘徊への対応は、容易ではありません。 しかし、上記のアプローチを総合的に行うことで、安全と安心を確保し、ご本人と介護職員の負担を軽減することが可能です。 重要なのは、継続的な努力と、施設スタッフ、医療機関、後見人などとの連携です。 チームとして協力し、最適な解決策を見つけることが、この問題を乗り越える鍵となります。
