認知症高齢者のナースコール対応:落ち着きを取り戻すための具体的な方法

訴え、ナースコールが頻繁で困っています。 施設にいる入居者様なのですが、 リビングにいると「看護婦さん、看護婦さん、どうか 私を部屋に連れて行って下さい」と一日中呼び、 居室に戻り、ベッドに休んでいただき、5分ほどすると ナースコールが鳴り、「起こしてください」と訴えます。 離床しリビングに来て暫くたつと、また 「部屋に戻して」とスタッフを呼び、その度にトイレ誘導や 臥床、離床を一日に何度も繰り返しています。 職員もいけないとは分かっていても無視してしまったり 「後で」と、その方に対する対応が荒くなってきています。 それでも、 あまりにも訴えが続く時は、食事の時に使うオシボリをたたんでもらったり 折り紙をしたりしていますが・・・。 ずっとその方についているわけでもなく、少しでもすることがなくなると 「看護婦さん、部屋に・・・」臥床すると「起こして・・・」と訴えてきます。 先程寝たばかり、まもなくご飯だから・・・などとお伝えすると 表情が険しくなり、声を荒げる事も・・・。 気分転換に、と、散歩に行っても「私の部屋に連れてってくれない」と 散歩先で会った他の職員に訴えてしまいます。 他の認知症ではない入居者も「うるさい」「何なんだ」と 冷たい目で見ています。 落ち着いていただくにはどのような対応をしたらよいのでしょうか。補足夜間は眠剤を使用しており、比較的ぐっすり休まれています。 日中のみ何度もスタッフを呼ぶので・・・。

繰り返されるナースコールの背景:認知症の理解

頻繁なナースコールは、単なる「わがまま」ではなく、認知症による不安や混乱、意思疎通の困難さを示すサインです。 ご本人は、自分の状況や気持ちを言葉でうまく表現できず、ナースコールという手段でしか訴えられない可能性が高いです。 日中、眠剤の効果が切れている時間帯に症状が顕著になるのは、夜間の不安や混乱が日中に持ち越されている可能性も考えられます。

落ち着かせ、安心させるためのポイント

* 声かけの工夫: 「後でね」ではなく、「今、○○をしていますが、すぐに伺いますね」と具体的な時間を伝え、安心感を与えましょう。 落ち着いて、ゆっくりとしたトーンで話しかけることが大切です。 名前で呼びかけることで、個人として認識されていることを伝えましょう。
* 身体的アプローチ: 言葉だけでは伝わらない場合、優しく手を握ったり、肩を軽く叩いたりするなどの身体的接触は、安心感を与え、落ち着かせる効果があります。
* 環境調整: 居室とリビングの行き来が頻繁な場合、居室をより居心地の良い空間にする工夫が必要です。 お気に入りの写真や小物、心地よい照明などを活用しましょう。 また、リビングに落ち着けるスペース(ソファや椅子など)を用意し、居室以外でもリラックスできる環境を整えることも有効です。 視覚的な刺激を減らすために、リビングの明るさや騒音を調整することも検討しましょう。
* 個別ケアプランの見直し: 現在のケアプランがご本人の状態に合致しているか、見直す必要があります。 専門職(医師、看護師、ケアマネージャー、理学療法士など)と連携し、日中の活動内容や生活リズム、環境調整について、改めて検討しましょう。 例えば、日中の活動量を増やすことで、夜間の不安を軽減できる可能性があります。

具体的な対応策:多職種連携と環境整備

1. 多職種連携による包括的なケア

* 医師への相談: 薬剤の見直しや、認知症の進行状況、他の症状の有無などを医師に相談しましょう。 日中の症状軽減のための薬物療法や、非薬物療法の併用も検討できます。
* 看護師との連携: ナースコールへの対応や、ご本人の状態把握、日中の活動計画について、看護師と綿密に連携を取りましょう。 ナースコールの頻度や時間帯、その時のご本人の様子などを記録し、共有することで、より適切な対応が可能になります。
* ケアマネージャーとの連携: ケアプランの見直しや、介護サービスの利用、外部機関への相談など、ケアマネージャーと連携することで、包括的な支援体制を構築できます。
* 理学療法士・作業療法士との連携: 身体機能の維持・向上、日常生活動作の改善、認知機能の刺激などを目的としたリハビリテーションプログラムの導入を検討しましょう。 適切な運動や作業療法は、不安や混乱を軽減する効果が期待できます。

2. 環境整備と工夫

* 「見える化」の工夫: 時計やカレンダーを分かりやすい場所に設置し、時間や曜日を把握できるようにする。 また、居室とリビングの場所を示す絵カードなどを活用するのも有効です。
* 安心できる空間づくり: お気に入りの写真や思い出の品を飾る、好きな音楽をかける、アロマを焚くなど、ご本人が落ち着ける空間づくりを心がけましょう。
* 活動の提供: 折り紙やオシボリたたみだけでなく、簡単な手芸、塗り絵、歌、昔話など、ご本人の興味や能力に合わせた活動を定期的に提供しましょう。 ボランティアの方々の協力を得るのも有効です。
* 他の入居者への配慮: ナースコールの音やご本人の声で迷惑をかけている他の入居者の方々への配慮も必要です。 可能な範囲で、騒音対策をしたり、他の入居者の方々への説明を行うなど、配慮を示しましょう。

3. 職員の負担軽減とチームワーク

* チームでの対応: 一人だけで対応しようとせず、チームで協力して対応しましょう。 休憩時間や交代制をきちんと守り、職員の負担を軽減することが重要です。
* 職員研修: 認知症の理解や対応方法に関する研修を実施し、職員のスキルアップを図りましょう。 専門家の指導を受けることで、より効果的な対応方法を学ぶことができます。
* 記録の共有: ご本人の状態や対応内容を記録し、チームで共有することで、より効果的なケアが提供できます。 記録は、今後のケアプランの見直しにも役立ちます。

専門家の視点:認知症ケアの専門家からのアドバイス

認知症高齢者のケアにおいては、専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。 医療機関や介護施設に相談し、専門家の意見を聞きながら、適切な対応策を検討しましょう。 特に、行動・心理症状(BPSD)の専門家からのアドバイスは、効果的な対応策の立案に役立ちます。 ご本人の状態や状況に合わせた個別ケアプランの作成、そして、職員の教育・研修も不可欠です。 決して、職員だけで抱え込まず、専門家の力を借りながら、チームとして対応していくことが重要です。

まとめ:継続的な観察と柔軟な対応が鍵

認知症高齢者のナースコール対応は、簡単ではありません。 しかし、継続的な観察と、ご本人への丁寧な声かけ、そして多職種連携による包括的なケアによって、落ち着きを取り戻すことができる可能性があります。 ご本人の状態を常に観察し、状況に応じて柔軟に対応していくことが大切です。 焦らず、一歩ずつ、改善策に取り組んでいきましょう。

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