虐待が疑われる高齢者へのケアプラン作成:事例に基づいた対応と方向性

福祉系大学に通う者です。昨日、大学で筆記試験がありました。ケアプランに関する問題です。ケアプランにお詳しい方おりましたら、回答していただけると助かります。ぜひ、模範解答をお願いします。試験内容は以下の通りです。————あなたは地域包括支援センターの社会福祉士です。あなたのもとに、虐待が疑われる次のような事例(ケース)が回ってきました。このケースに関して、あなたはどのように対応し、またどのような方向性でケアプラン(支援計画)を作成しますか。あなたが取る方法とケアプランの方向性について、論述してください。事例:Aさんは78歳、女性で、要介護1です。Aさんは息子さんと二人暮しです。Aさんは脳梗塞後遺症で左片麻痺があります。室内ではゆっくりとひとりで歩くことはできますが、ふらつきがあり、屋外に出ることは少ないです。呼びかけに対する反応は鈍く、排泄はなんとかできますが、間に合わずにトイレで失敗することがしばしばあります。週2回デイサービスに通って入浴しています。そのデイサービスでも、「息子に『行かなくてもいい』と言われていけない」とAさんから電話がきて、ときどき休みます。電話の向こうでは、息子さんが本人に対して怒鳴っていることもありました。デイサービスの入浴時に、職員はAさんの目のまわりの黒いあざと右頬の腫脹を発見しました。Aさんに尋ねたところ、「転んだ」とのことでした。Aさんを担当するケアマネージャーの話によれば、同居している息子さん(57歳)は酒乱が理由で妻子と別れたそうです。息子さんはアルコール中毒で何度か入退院を繰り返していますが、断酒につながっておらず、飲酒は続いているとのことです。またAさんには結婚している娘がいるそうですが、この数年、一度も連絡はきていないそうです。買い物や食事の準備などの家事は息子さんがやっています。しかしコンビニで買った菓子パンやインスタントラーメンなどが多いようで、Aさんは、デイサービスでの食事を非常に楽しみにしています。Aさん宅は部屋が乱雑なままで、トイレ付近はべたつく感じがあります。息子さんのケアは十分なものとはいえないので、ケアマネージャーはヘルパーの利用を勧めていますが、息子さんは「自分がやっているので、これ以上、サービスに金は払えない」と利用を拒否しています。息子さんはリストラにあって、3年前に失業して以来、母親であるAさんの年金をあてにしているようです。補足皆様、回答してくださりありがとうございます。自分は福祉を学んで2年目ですが、まだまだ勉強しなければならないことを痛感しました。

1.状況把握と初期対応

まず、Aさんの状況を詳細に把握することが重要です。これは、Aさんご本人、息子さん、ケアマネージャーへの聞き取り調査、そしてAさん宅の状況観察から始めます。

1-1. Aさんへの聞き取り

Aさんへの聞き取りは、穏やかな雰囲気の中で、ゆっくりとしたペースで行うことが大切です。言葉を選び、Aさんの気持ちを尊重しながら、身体的虐待の有無、その状況、息子さんとの関係性などを丁寧に確認します。 認知機能の低下も考慮し、必要に応じて具体的な質問を避け、絵カードなどを活用するのも有効です。

1-2. 息子さんへの聞き取り

息子さんへの聞き取りは、非難するような態度を避け、共感的な姿勢で接することが重要です。アルコール依存症の可能性が高いことから、怒鳴ったり、圧力をかけたりせず、彼の置かれている状況や、Aさんへの介護に対する負担感などを丁寧に聞き取ります。彼の経済状況や生活状況も把握する必要があります。

1-3. ケアマネージャーとの情報共有

ケアマネージャーから得られる情報は、Aさんのこれまでの状況や、息子さんの性格、家族関係などを理解する上で非常に重要です。継続的な情報共有体制を構築し、連携を密にする必要があります。

1-4. 関係機関への相談

Aさんの状況から、高齢者虐待の疑いが強いため、速やかに地域包括支援センターや市町村の担当部署、必要であれば警察にも相談します。これは、Aさんの安全確保と、適切な支援を行うために不可欠なステップです。

2.ケアプランの方向性

ケアプラン作成にあたっては、Aさんの安全確保と、自立支援、そして息子さんの支援を同時に行う必要があります。

2-1. 安全確保

Aさんの身体的・精神的虐待を防止するための具体的な対策を講じます。例えば、定期的な訪問による安否確認、緊急連絡体制の構築、必要であれば一時保護の検討などです。

2-2. 自立支援

Aさんの自立支援のためには、リハビリテーション、機能訓練、そして適切な介護サービスの提供が重要です。デイサービスの継続、そしてヘルパーの利用を促進する必要があります。息子さんの抵抗がある場合は、経済的な支援策を検討したり、ヘルパーの必要性を丁寧に説明する必要があります。

2-3. 息子さんへの支援

息子さんのアルコール依存症への対応は、Aさんの安全確保と自立支援にも大きく関わってきます。アルコール依存症治療への誘導、生活支援、そして経済的な支援を検討する必要があります。地域の相談窓口や専門機関へのつなぎ込みも重要です。

2-4. 娘さんへの連絡

娘さんへの連絡を試みます。娘さんがAさんの状況を理解し、協力してくれる可能性があります。

3.ケアプランの具体的な内容

上記の点を踏まえ、具体的なケアプランの項目を以下に示します。

  • 安全確保:週1回以上の訪問による安否確認、緊急連絡体制の構築、必要に応じて一時保護の検討
  • 身体介護:排泄介助、入浴介助(デイサービスと連携)
  • 生活援助:家事援助(掃除、洗濯、買い物)、食事作り支援(栄養バランスに配慮した食事提供)
  • リハビリテーション:理学療法士、作業療法士による機能訓練
  • 精神的支援:精神保健福祉士による相談支援
  • 息子さんへの支援:アルコール依存症治療への誘導、生活支援、経済的支援、相談窓口へのつなぎ込み
  • 娘さんへの連絡:状況説明と協力依頼
  • 地域包括支援センターとの連携:定期的なケース会議の実施

4.専門家の視点

このケースは、高齢者虐待、アルコール依存症、経済的困窮など、複数の問題が複雑に絡み合っています。そのため、地域包括支援センター、ケアマネージャー、医師、精神保健福祉士、アルコール依存症専門機関など、複数の専門職による連携が不可欠です。それぞれの専門家の知見を活かし、総合的な支援体制を構築することで、Aさんの安全と自立支援、そして息子さんの問題解決に繋げることが期待できます。

5.継続的なモニタリングと評価

ケアプランは、一度作成したら終わりではなく、継続的なモニタリングと評価が不可欠です。Aさんの状態、息子さんの状況、そして支援内容の効果などを定期的に確認し、必要に応じてケアプランを見直す必要があります。

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