脱法ハウスと借地借家法:違法建築における居住者の権利と安全

脱法ハウス、脱法住宅を作ってそこに人を住まわせれば 借地借家法の効果を受けられますか? 無効ですか? 最近、そんな違法建築の住居が増えています。 悪賢いです! 法律的にどうよ? ↓ 脱法ハウス:利用者に千代田区が住居として紹介 毎日新聞 2013年6月17日 19時55分 (最終更新 06月17日 21時15分) 東京都千代田区でネットカフェ大手・マンボーが運営する「シェアハウス」の利用者4人が、「一方的に短期間での退去を迫るのは違法」として、賃借権に基づく占有を妨害しないよう求めた仮処分申請で、代理人の弁護士や利用者が17日、記者会見し、新たに2人が18日にも同様の申請をすることを明らかにした。また、利用者に千代田区が施設を住居として紹介していたことも明らかになった。 同社は今年3月の同区建築指導課の立ち入り検査に「住居ではなく貸しオフィス」と主張。同区生活福祉課は「別の受給者が住んでいたので施設情報を提供した」と説明。インターネットで空き状況などは調べたが、「『住めますよね?』と(運営業者に)聞くことは通常ない」とし、「今後は建築指導課に確認して(法的に)グレーな物件は紹介しないようにする」としている。他にこの施設を紹介した例はないという。 会見で、新たに仮処分申請予定の50代男性は「今、職がない状態。すぐに出て行ってくれと言われても困る」と厳しい表情で語った。 【加藤隆寛】 . http://mainichi.jp/select/news/20130618k0000m040032000c.html ーーー 衆院国交委 穀田議員が要求 日本共産党の穀田恵二議員は18日の衆院国土交通委員会で、極端に狭い空間に違法に人を住まわせている「脱法ハウス」問題を取り上げ、実態調査と指導、居住者の救済などを求めました。 穀田氏は、国の住生活基本計画では最低居住面積水準(単身者25平方メートル)を定めて水準未満の住宅の解消を目標に掲げていることを国交省に確認。「脱法ハウスの部屋の面積は2・5~2・6平方メートルで、窓もない。健康で文化的な生活を営めるのか」と追及しました。 しんぶん赤旗 2013年6月19日(水) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-19/2013061914_02_1.html

脱法ハウスとは何か?

「脱法ハウス」とは、建築基準法や消防法などの建築関係法規に違反しながら、住居として利用されている建物の総称です。 具体的には、狭小な空間、換気設備の不足、防火設備の欠如、違法な増改築など、居住者の安全・健康を著しく脅かす問題を抱えています。 記事で紹介されている例のように、本来はオフィスとして許可されている建物を住居として利用したり、極端に狭い空間を区切って複数人に貸し出したりするケースが多いです。 これらの建物は、建築確認や検査を受けていないため、安全性が担保されていません。

借地借家法の適用可能性

違法建築である脱法ハウスにおいて、借地借家法の効果を受けられるかどうかは、明確に「無効」です。 借地借家法は、適法な賃貸借契約を前提として成立する法律です。 建築基準法などの法令に違反した建物は、そもそも適法な賃貸借契約の対象となりません。 したがって、たとえ賃貸借契約を締結していたとしても、借地借家法に基づく保護は受けられません。 仮に、居住者が家主に違約金などを請求したとしても、裁判で認められる可能性は極めて低いです。

居住者の権利と法的保護

では、脱法ハウスに住む居住者は全く法的保護を受けられないのでしょうか? そうではありません。 たとえ建物自体が違法であっても、居住者の安全や健康に関する権利は保護されるべきです。 具体的には、以下の様な法的措置が考えられます。

  • 民法上の不当利得返還請求:家主に不当に利益を与えた場合、その利益を返還させることができます。
  • 民法上の損害賠償請求:家主に過失があり、居住者が損害を被った場合、損害賠償を請求できます。
  • 行政への通報:建築基準法違反や消防法違反などの違法行為を、行政機関に通報することができます。

しかし、これらの法的措置を有効に活用するためには、証拠の収集が非常に重要です。 契約書、写真、証言など、違法状態を証明する証拠をしっかりと確保しておく必要があります。

具体的なアドバイス

脱法ハウスに住んでいる、または住もうと考えている方へのアドバイスです。

  • 物件の確認を徹底する:契約前に、必ず建物の建築確認済証などの書類を確認し、建築基準法や消防法に適合しているかを確認しましょう。 不安な点があれば、専門家(弁護士や建築士)に相談することをお勧めします。
  • 契約内容を慎重に検討する:契約書には、重要事項が全て記載されているか、不明な点がないかを確認しましょう。 特に、解約条件や違約金に関する条項は、注意深く確認する必要があります。
  • 不審な点があれば、すぐに相談する:建物に危険性を感じたり、家主との間にトラブルが発生したりした場合、すぐに弁護士や消費者センターなどに相談しましょう。
  • 行政機関への通報を検討する:違法建築であると確信できる場合は、速やかに建築指導課や消防署などに通報しましょう。

専門家の視点

弁護士や建築士などの専門家は、脱法ハウスの問題について、以下のような点を指摘しています。

* 居住者の安全が脅かされている:狭小な空間、劣悪な設備などにより、火災や健康被害のリスクが高い。
* 法的保護が不十分:違法建築であるため、借地借家法などの法律による保護を受けにくい。
* 行政の対応が遅れている:違法建築の摘発や是正が遅れているため、問題が拡大している。

まとめ

脱法ハウスは、居住者の安全・健康を著しく脅かす違法建築です。 借地借家法は適用されませんが、他の法律や制度に基づいて、居住者の権利や安全を守るための措置を講じることが可能です。 物件を選ぶ際は、十分に注意し、不審な点があれば専門家に相談することが重要です。 また、違法建築を発見した場合には、行政機関への通報も検討しましょう。

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