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中古住宅における瑕疵担保責任とベランダ防水の劣化
築20年の中古住宅を購入後、ベランダの塗布防水の劣化による床のふかふか、根太腐食を発見されたとのこと。売主である不動産会社は瑕疵担保責任には当たらないとして、部分的な補修のみを提案。しかし、売主の対応に納得できず、全体をFRP防水にすることを希望されています。このケースにおける瑕疵担保責任の適用、費用負担の妥当性について解説します。
瑕疵担保責任とは?
瑕疵担保責任とは、売買契約において、売買された物件に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合、売主が買主に対して負う責任のことです。中古住宅においては、特に重要な要素となります。 重要なのは、「隠れた瑕疵」であることです。 明らかに目視できる劣化などは、瑕疵担保責任の対象外となる可能性が高いです。しかし、今回のケースのように、塗布防水の劣化が表面からは分かりにくく、床のふかふかという症状から初めて内部の腐食に気付いたという状況であれば、「隠れた瑕疵」に該当する可能性があります。
ベランダ防水の劣化は瑕疵担保責任の対象となるか?
ベランダの防水は、経年劣化によって性能が低下する消耗品です。そのため、単純な経年劣化による劣化は、瑕疵担保責任の対象外とされるケースが多いです。しかし、今回のケースでは、塗布防水の劣化が原因で、根太の腐食という二次的な被害が発生している点が重要です。 単なる防水の剥がれではなく、構造材である根太にまで被害が及んでいる状況は、重大な瑕疵と判断される可能性があります。
専門家の意見:弁護士・不動産鑑定士
弁護士や不動産鑑定士に相談することで、客観的な判断を得ることができます。専門家は、契約書の内容、建物の状況、専門的な知識に基づいて、瑕疵担保責任の適用可能性や適切な対応についてアドバイスしてくれます。
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売主側の対応と妥当性
売主が部分的な補修のみを提案し、全体的なFRP防水工事の費用を折半することを提案しているのは、妥当とは言えません。 瑕疵担保責任が適用される可能性があるにも関わらず、費用負担を半分にする提案は、買主にとって不利益な条件です。
具体的な行動とアドバイス
1. 証拠の確保: ベランダの劣化状況を写真や動画で記録しましょう。 腐食した根太なども、証拠として残しておくことが重要です。
2. 専門家への相談: 弁護士や不動産鑑定士に相談し、法的観点からのアドバイスを受けましょう。 専門家の意見は、交渉の際に強い味方になります。
3. 交渉の記録: 売主との交渉内容を記録しておきましょう。 メールや手紙、電話の内容をメモに残すことが重要です。
4. 書面での請求: 売主に対して、瑕疵担保責任に基づく修繕を、書面で請求しましょう。 具体的な修繕内容(FRP防水工事など)と費用を明記しましょう。
5. 交渉の限界: 交渉がまとまらない場合は、裁判という手段も検討する必要があります。
FRP防水工事費用について
8㎡のベランダのFRP防水工事費用が15万円は、一般的な相場と比較して妥当な範囲内と言えます。しかし、下地処理の状態によっては、費用が変動する可能性があります。
類似事例
過去の裁判例などを調べると、同様のケースで瑕疵担保責任が認められた事例もあります。 これらの事例を参考に、交渉を進めることが重要です。
まとめ
今回のケースは、単純な経年劣化と判断できる部分と、重大な瑕疵と判断できる部分の両方が存在します。 専門家の意見を聞き、証拠をしっかりと確保した上で、売主と交渉を進めていくことが重要です。 交渉が難航する場合は、裁判という手段も視野に入れるべきです。 大切なのは、冷静に状況を判断し、適切な対応をとることです。 焦らず、一歩ずつ確実に進んでいきましょう。