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相続放棄後のマンション清掃義務について
民法940条は、相続放棄をした者にも、相続財産の管理を継続する義務を課しています。しかし、この義務は「自己の財産におけると同一の注意を以て」という限定的なものです。つまり、あなたの財産を管理するのと同等の注意を払うことが求められるということです。 ゴミが堆積し、居住不可能な状態にあるマンションを、小さな子供を抱えながら遠方から頻繁に掃除に通うことは、現実的に困難であり、あなたに求められる「同一の注意」の範囲を超えていると判断できる可能性が高いです。
重要なのは、相続財産の著しい毀損を防ぐことです。現状維持を維持する程度の清掃であれば義務と言えるかもしれませんが、現状では、危険な状態(例えば、倒壊の危険性があるなど)でない限り、管理会社からの要求に全面的に従う必要はありません。
具体的な対応策
* **管理会社との交渉:** 管理会社に現状を説明し、現状維持のための最低限の清掃(例えば、共用部分へのゴミの飛散防止など)を行うことを提案しましょう。清掃頻度を減らすことや、清掃業者への依頼を検討することも提案できます。
* **写真・動画の撮影:** マンション内部の状態を写真や動画で記録しておきましょう。これは、あなたが適切な管理をしていたことを証明する証拠となります。
* **弁護士への相談:** 不安な場合は、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、法律的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。
相続財産管理人になる義務はあるのか?
相続放棄をしたからといって、自動的に相続財産管理人になる義務はありません。相続財産管理人は、家庭裁判所が選任するものです。相続財産に債権者などが存在し、その管理が必要と判断された場合に選任されます。現状では、他に相続人がおらず、目に見える貴重品はあなたが保管していることから、家庭裁判所が相続財産管理人を選任する可能性は低いと考えられます。
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しかし、マンションの管理や、将来的に債権者が出現する可能性もゼロではありません。状況によっては、家庭裁判所から相続財産管理人の選任を求められる可能性も否定できません。
鍵の返還について
管理会社に鍵を渡すことは、法律的に難しいわけではありません。しかし、安易に渡すことは避けた方が良いでしょう。鍵を渡す前に、管理会社としっかりと話し合い、清掃や管理に関する具体的な内容を文書で取り交わすことが重要です。
鍵の返還に関する注意点
* **合意書の作成:** 鍵の返還、清掃の頻度、費用負担などについて、管理会社と合意書を作成しましょう。
* **責任範囲の明確化:** 鍵の返還後の責任範囲を明確にしましょう。例えば、マンション内の盗難や損壊に対する責任は誰が負うのか、などを明確にする必要があります。
* **弁護士の確認:** 作成した合意書は、弁護士に確認してもらうことをお勧めします。
ゴミの処分について
50万円という見積もりは、確かに高額です。しかし、現状では、ご自身でゴミの処分を行うのは困難な状況です。
ゴミ処分に関する選択肢
* **行政への相談:** 自治体によっては、遺品整理やゴミ処理に関する支援制度がある場合があります。まずは、お住まいの自治体にご相談ください。
* **専門業者への依頼:** 費用を抑えるために、複数の業者に見積もりを取り、比較検討しましょう。また、ゴミの量を減らすことで費用を抑えることも可能です。例えば、燃えるゴミと燃えないゴミを分別し、リサイクル可能なものは分別して処分することで費用を削減できます。
* **部分的な清掃:** まずは、共用部分へのゴミの飛散を防ぐための最低限の清掃から始めるのも良いでしょう。
まとめ
相続放棄後であっても、相続財産の著しい毀損を防ぐための最低限の管理義務はあります。しかし、現状を鑑みると、管理会社からの要求全てに応じる必要はありません。管理会社との交渉、弁護士への相談、行政への相談などを活用し、あなたにとって最適な解決策を見つけてください。 感情的な負担も大きいと思いますが、一つずつ問題を解決していくことで、少しずつ気持ちも楽になるはずです。