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根太レス工法とバリアフリー和室の課題
根太レス工法は、床下地合板で床の剛性を確保する工法です。そのため、一般的な在来工法のように根太を下げて床の高さを調整することが容易ではありません。和室のバリアフリー化においては、畳の厚さ分床の高さを下げる必要があり、これが困難となる点が、施主様にとっての悩みの種となっているようです。 建築会社からの提案である「他の部屋も床を上げる」「15mmの薄畳を使う」という2つの選択肢も、それぞれにメリット・デメリットがあり、必ずしも最適解とは言えません。
玄関と和室の床下地:構造上の違い
施主様は、玄関には合板を貼らないのに、なぜ和室では床下地を下げられないのか疑問を持たれています。確かに、玄関は広さによっては合板を貼らない場合もあります。しかし、玄関と和室では構造上の役割が大きく異なります。
玄関の床
玄関は、外部と内部を繋ぐ空間です。広さやデザイン、建物の構造によっては、土間コンクリートの上に直接タイルや石材を貼る場合や、下地を最小限に抑える場合があります。これは、玄関が構造的に建物の主要な荷重を支える部分ではないためです。
和室の床
一方、和室の床は、建物の主要な床面積の一部であり、人の歩行や家具の配置による荷重を受ける必要があります。根太レス工法では、床下地合板が構造体の一部として機能し、建物の剛性を確保する上で重要な役割を果たしています。そのため、和室の床下地を簡単に下げることは、建物の強度や安定性に影響を与える可能性があり、安易な施工は避けなければなりません。
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和室のバリアフリー化:現実的な解決策
15mmの薄畳の使用を希望されないとのことですので、他の解決策を探る必要があります。 いくつかの選択肢を検討してみましょう。
1. 部分的な床レベル調整
和室全体ではなく、畳敷き部分のみをわずかに下げる方法です。これは、床下地合板の一部をカットし、その部分に高さ調整用の下地材を設置することで実現できます。ただし、この方法は、構造上の強度を維持するために、専門家の設計と施工が不可欠です。強度計算や適切な補強材の選定が必要となるため、建築会社と綿密な協議が必要です。
2. 勾配をつける
和室の出入り口付近に僅かな勾配をつけることで、段差を緩和できます。 極端に大きな勾配は避け、バリアフリー基準を満たす範囲で設計する必要があります。 この方法も、専門家の指導の下、適切な勾配と施工方法を選択することが重要です。
3. 異なる床材の組み合わせ
畳の敷設範囲を狭くし、畳以外の床材(フローリングなど)との組み合わせを検討するのも一つの方法です。例えば、和室の一部に畳を敷き、残りの部分はバリアフリー対応のフローリングにすることで、段差を最小限に抑えることができます。
4. 建材の工夫
畳自体に工夫を凝らすことで、段差を解消できます。例えば、厚みの薄い畳を使用する代わりに、畳表を交換することで、既存の畳を長く使用できる可能性があります。また、近年では、軽量で耐久性に優れた新しいタイプの畳も開発されています。これらを検討することで、バリアフリーと和室の雰囲気を両立できる可能性があります。
専門家への相談:建築士や設計士との連携
これらの解決策は、あくまで提案であり、実際に適用できるかどうかは、建物の構造や設計、予算、施主様の要望など、様々な要因によって異なります。 最も重要なのは、建築士や設計士などの専門家と綿密に相談し、最適な解決策を見つけることです。 彼らは、構造上の問題や安全性を考慮した上で、実現可能なバリアフリー化の方法を提案してくれます。
まとめ:和室のバリアフリー化は諦めないで
根太レス工法であっても、和室のバリアフリー化は不可能ではありません。 建築会社とのコミュニケーションを密にし、専門家の意見を聞きながら、最適な方法を探りましょう。 15mmの薄畳に妥協したくないという施主様の強い意志を尊重し、より快適で安全な住空間を実現するために、様々な選択肢を検討することが大切です。 諦めずに、理想の和室を手に入れましょう。