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敷金返還請求における訴訟手続きと注意点
敷金返還請求において、内容証明郵便の無視、そして個人での訴訟手続きを進めることになった状況ですね。弁護士に依頼したことで、既に重要な証拠(退去時の写真、請求書の内訳)の確認と法的アドバイスを受けているのは心強いことです。以下、ご質問にお答えしていきます。
1.支払督促申立と訴訟における請求額
① 支払督促申立と訴訟における請求額の整合性
支払督促申立書に記載する請求額と、裁判における請求額は必ずしも一致する必要はありません。 支払督促は、訴訟よりも簡易な手続きです。内容証明で譲歩した点を支払督促申立書にも反映させ、相手が異議を申し立てて裁判になった際に、改めて全額返還請求に切り替えることは可能です。ただし、裁判では、主張を裏付ける証拠を提示する必要があります。内容証明での譲歩が、裁判において不利に働く可能性も考慮しましょう。
- 戦略: 支払督促では譲歩した金額を請求し、異議申立てがあった場合、裁判で改めて全額返還を請求する戦略も有効です。ただし、裁判では、証拠に基づいた主張が重要になります。
- リスク: 裁判で全額返還を請求する際には、損害賠償請求の根拠となる証拠(写真、見積書など)を十分に準備する必要があります。
2.簡易訴訟と通常訴訟の選択
② 簡易訴訟と通常訴訟の選択
簡易訴訟は、訴額が140万円以下の場合に選択できる手続きです。 訴額が140万円を超える場合は、通常訴訟となります。 どちらの訴訟を選択するかは、原告(あなた)が決定します。 相手(不動産会社)は、簡易訴訟でも通常訴訟でも異議を申し立てることができますが、訴訟の種類を変えることはできません。支払督促の場合は、異議申立てがあった場合、簡易訴訟または通常訴訟に移行します。
- 手続き: 訴状に訴額を明記することで、簡易訴訟か通常訴訟かが決定します。
- 費用: 簡易訴訟の方が、印紙代や弁護士費用など、訴訟費用が抑えられる傾向があります。
3.裁判における裁判官の心象と内容証明の無視
③ 裁判官の心象と内容証明の無視
相手方の内容証明への対応(無視)は、裁判官の心象に影響を与えます。 法人であるにも関わらず、内容証明を無視したことは、誠意のない対応として捉えられ、裁判官の判断に影響する可能性があります。特に、証拠が揃っている場合、相手方の対応は不利に働く可能性が高いです。
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- 証拠: 内容証明の送付記録、配達証明などを証拠として提出しましょう。
- 印象: 相手方の対応は、裁判官に「交渉に応じない」「誠意がない」という印象を与え、不利な判決につながる可能性があります。
4.強制執行と相手の資金移動
④ 強制執行と資金移動
強制執行は、判決確定後に行われます。 相手方の口座からお金を引き出す手続きですが、相手が事前に資金を引き出していたとしても、執行不能になるわけではありません。 相手方が法人である場合、代表者個人の口座だけでなく、法人の口座やその他の資産に対しても強制執行を行うことができます。ただし、小さな不動産会社の場合、執行可能な資産が少ない可能性も考慮する必要があります。
- 調査: 強制執行の前に、相手方の財産状況を調査することが重要です。弁護士に相談し、適切な方法で調査を行いましょう。
- 対策: 強制執行の前に、相手方の財産を隠匿する可能性を考慮し、弁護士と連携して対応策を検討しましょう。
5.宅建協会の役割
⑤ 宅建協会の役割
宅地建物取引業法に基づき、宅建協会は、宅地建物取引業者の業務に関する苦情処理や指導を行う機関です。しかし、宅建協会による指導は、あくまで勧告であり、強制力はありません。 免許の取消や業務停止命令などの行政処分は、国土交通省などの行政機関が行います。
- 苦情申告: 宅建協会に苦情を申し立てることは可能です。ただし、法的強制力はないことを理解しておきましょう。
- 行政機関: より強い法的措置を望む場合は、国土交通省などの行政機関に相談する必要があります。
まとめ
敷金返還請求は、証拠の収集と適切な手続きが重要です。弁護士のアドバイスを参考に、一つずつ丁寧に手続きを進めていきましょう。 裁判官の心象や相手方の対応も考慮し、戦略的に訴訟を進めることが大切です。 不明な点があれば、弁護士に相談することをお勧めします。