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敷金返還問題:現状と解決策
賃貸マンションから退去後、敷金の返還が遅延し、さらに不当な理由で減額を請求されているとのこと、大変お辛い状況ですね。ご自身の権利を守るため、冷静に対処していきましょう。以下、ご質問の①~③について、具体的な解決策を提案します。
1.管理会社への対応:敷金返還請求と法的根拠の提示
ご質問の①「敷金が回収できないのは管理会社と大家との問題であり、管理会社と賃借人の問題ではない」という考え方は、必ずしも正しくありません。 賃貸借契約において、敷金の返還義務は大家にあります。しかし、管理会社は大家を代理して敷金の管理・受領を行うことが多く、管理会社にも返還義務がある場合が多いです。
具体的な対応:
- 内容証明郵便で敷金返還請求を行う: これは非常に重要です。内容証明郵便は、送付内容が確実に相手方に届いたことを証明できるため、後の法的措置において強い証拠となります。郵便物には、以下の点を明確に記載しましょう。
- 契約内容と敷金の金額
- 退去日と返還約束日(電話での約束もあれば記載)
- 返還が遅延していることへの抗議
- 不当な減額請求への反論(後述)
- 返還期限の指定(例えば、内容証明郵便送付から1週間以内など)
- 期限内に返還されない場合の対応(法的措置も検討している旨を明記)
- 民法617条に基づく請求: 敷金は、家賃滞納や損害賠償の担保として預けられたものであり、それ以外に理由がない限り、全額返還されるべきです。内容証明郵便では、この民法617条を根拠に、全額返還を請求しましょう。
- 証拠の収集: 契約書、領収書、家賃支払いの記録、管理会社とのやり取りの記録(メールや電話のメモなど)を全て保管し、必要に応じて提出しましょう。
2.不当な減額請求への反論:具体的な根拠を示す
ご質問の②「時の経過に伴うような劣化の修繕(エアコンや排水溝)、そもそもクリーニングも敷金から差し引かれるべきではない」という点については、以下の点を主張しましょう。
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- 通常の経年劣化: エアコンのカビや排水溝の詰まりは、1年半の使用期間では通常の経年劣化の範囲内と主張できます。専門業者に見積もりを依頼し、その金額が妥当かどうかを判断しましょう。もし、過剰な金額であれば、その根拠を反論材料とします。
- クリーニング代: 通常の使用による汚れであれば、クリーニング費用は敷金から差し引くことはできません。入居時の状態と退去時の状態を比較できる写真や動画があれば、非常に有効な証拠となります。退去時精算時に立ち会いを要求し、その際に現状を記録しておくべきでした。今後は、退去時の立ち会い時に写真・動画撮影を行い、記録を残すようにしましょう。
- 過剰な請求への反論: 3万円のクリーニング代や1万円のエアコン清掃代は、一般的な相場と比較して高額である可能性があります。複数の業者に見積もりを依頼し、その結果を提示することで、不当性を主張できます。
3.敷金返還遅延と法廷利息
ご質問の③「敷金返金日は書面には残しておらず、管理会社からの電話による連絡のみ、証拠はない。が、敷金返金の遅延による法廷利息などを請求できるのか」については、電話での約束を証拠として認めさせるのは難しいですが、不可能ではありません。
- 電話での約束の証拠: 電話での約束があったことを証明する証拠がない場合、法廷利息の請求は困難です。ただし、内容証明郵便で、電話での約束があったことを主張し、管理会社に反論を求めることは可能です。
- 遅延損害金: 敷金の返還が遅延した場合、遅延損害金(法定利息)を請求できる可能性があります。民法の規定に基づき、遅延期間と敷金金額から計算できます。ただし、遅延損害金の請求には、返還期限を明確に示す必要があります。内容証明郵便で明確に返還期限を提示し、その期限を過ぎた場合に遅延損害金を請求すると明記しましょう。
4.専門家への相談
状況が複雑で、ご自身で対応することが難しい場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。特に、管理会社が10店舗程度の規模の会社であれば、法的措置も視野に入れた対応が必要となる可能性があります。
5.具体的な行動ステップ
1. 内容証明郵便の作成と送付: 具体的な請求内容、根拠法条、証拠資料を添付して送付します。
2. 管理会社からの回答待ち: 回答期限を設け、その期限までに回答がない場合は次のステップに進みます。
3. 専門家への相談: 弁護士や司法書士に相談し、今後の対応策を検討します。
4. 小額訴訟の検討: 管理会社が応じない場合は、小額訴訟を検討します。
5. 証拠の整理と準備: 訴訟に備え、全ての証拠を整理し、準備します。
まとめ
敷金返還問題は、適切な手続きと証拠によって解決できる可能性が高いです。焦らず、冷静に、一つずつステップを踏んで対応していきましょう。