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入居前の状態と敷金精算トラブル
賃貸住宅を退去する際に、敷金の返還をめぐるトラブルは少なくありません。今回のケースでは、入居前に指摘した修繕箇所の放置、入居後の清掃状況に関するクレーム、そしてタバコに関する契約条項の有効性など、複数の問題点が絡み合っています。一つずつ詳しく見ていきましょう。
入居前の状態と修繕義務
入居前にドアのシール跡や浴室のカビを指摘し、修繕を依頼したにもかかわらず、対応されなかったとのこと。これは重要です。賃貸借契約において、貸主(不動産会社)には、「現状回復義務」があります。これは、入居可能な状態を維持する義務であり、入居前に存在する瑕疵(欠陥)を修繕する責任を負います。入居前に指摘したにもかかわらず、修繕されなかった状態は、貸主の義務違反の可能性があります。この点は、敷金精算時に強く主張する必要があります。写真や動画などの証拠があれば、非常に有利に働きます。
退去時の清掃とクリーニング代
退去時の清掃状況について、不動産会社から「きれいに掃除してない」と指摘され、クリーニング代が高額になる可能性があると伝えられたとのこと。素人の清掃レベルでクリーニング代が大幅に変わるかどうかは、ケースバイケースです。一般的に、「通常の生活で生じる汚れ」は借主の負担とはなりません。しかし、「故意または過失による汚れ」は借主の負担となる可能性があります。例えば、油汚れがひどいキッチンや、ペットの毛が大量に残っている状態などは、借主の負担となる可能性が高いでしょう。
しかし、不動産会社が提示するクリーニング代の根拠が不明瞭な場合、専門業者に見積もりを依頼し、比較検討することが重要です。過剰なクリーニング代を請求されている可能性もあります。
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タバコのヤニ汚れと契約条項の有効性
契約書に「ヤニ汚れによるクロスの張り替え」と記載されているにもかかわらず、ベランダで喫煙し、部屋に煙が入らないように注意していたにもかかわらず、請求される可能性があるとのこと。タバコに関する契約条項の有効性については、裁判例も存在し、必ずしも有効とは限りません。
判例では、「喫煙場所や喫煙方法、換気状況など、具体的な状況を考慮して判断される」ケースが多いです。今回のケースでは、ベランダで喫煙し、部屋に煙が入らないように努力していたという事実を明確に示す必要があります。写真や証言などを準備し、「通常の使用範囲内」であったことを主張することが重要です。
具体的なアドバイス
1. **証拠を収集する:** 入居前の状態、入居後の状態(定期的に撮影)、修繕依頼の記録、清掃状況の写真や動画などを全て保存しましょう。これらは、敷金精算の際に非常に重要な証拠となります。
2. **専門家に相談する:** 不動産会社との交渉が難航する場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、より有利な交渉を進めることができます。
3. **書面でのやり取りを心がける:** 口頭での約束は、後々トラブルの原因となる可能性があります。不動産会社とのやり取りは、全て書面で行い、記録を残すようにしましょう。
4. **クリーニング代の明細を確認する:** クリーニング代を請求された場合は、詳細な明細書を請求し、内容を確認しましょう。過剰な請求であれば、交渉の余地があります。
5. **過去の判例を参考にする:** タバコに関する契約条項の有効性については、過去の判例を参考に、自分のケースに当てはまるかどうかを検討しましょう。
専門家の視点
弁護士の視点から見ると、今回のケースは、入居前の修繕義務の履行、退去時の清掃状況、そして契約条項の有効性という複数の問題点が複雑に絡み合っています。それぞれの点について、証拠をしっかりと揃え、専門家の助言を得ながら対応していくことが重要です。特に、入居前の状態を記録した写真や動画は、非常に重要な証拠となりますので、必ず保管しておきましょう。
まとめ
敷金精算は、賃貸借契約における重要な問題です。トラブルを避けるためには、入居前・入居中・退去時における状況をきちんと記録し、証拠をしっかり残しておくことが不可欠です。不明な点や不安な点があれば、専門家に相談することをお勧めします。