賃貸物件から引越しをする際に、敷金の返還は大きな関心事ですよね。特に、「敷金は返還しない」と契約書に明記されている場合、不安に感じる方も多いでしょう。この記事では、契約書に「敷金は返還しない」と記載されていても、敷金が全く返ってこないわけではないことを解説します。また、敷金を確実に返還してもらうための具体的な対策や、専門家のアドバイスもご紹介します。
Contents
「敷金は返還しない」条項の解釈
まず、契約書に「敷金は返還しない」と記載されている場合でも、それは必ずしも敷金が一切戻ってこないことを意味するわけではありません。 多くの場合、この条項は「原状回復義務」に関する記述と関連しています。原状回復義務とは、借主が賃貸物件を退去する際に、物件を借りた当初の状態に戻す義務のことです。ただし、これは「通常の使用による損耗」を除きます。
「通常の使用による損耗」とは、例えば、経年劣化による壁紙の変色や床の傷など、生活の中で自然に生じる損耗のことです。これらは借主の責任ではなく、大家が負担すべきものです。一方、故意または過失による損傷(例えば、壁に大きな穴を開ける、床に大きな傷をつけるなど)は、借主が負担しなければなりません。
契約書に「敷金は返還しない」と記載されている場合でも、借主が原状回復義務をきちんと果たし、通常の使用による損耗以外の損傷がない限り、敷金は返還される可能性が高いです。 ただし、この「通常の使用による損耗」の範囲は、場合によっては解釈が異なる可能性があるため、注意が必要です。
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敷金返還をめぐるトラブルを防ぐための対策
敷金返還をめぐるトラブルを防ぐために、以下の対策を講じることが重要です。
- 入居時の状態を写真や動画で記録する: 入居時に、部屋全体の状況(壁、床、設備など)を写真や動画で詳細に記録しておきましょう。特に、傷や汚れがある場合は、その箇所を明確に撮影することが重要です。これは、退去時の状態との比較に役立ちます。
- 定期的な清掃とメンテナンス: 定期的に部屋を清掃し、設備のメンテナンスを行うことで、損傷を防ぎ、原状回復費用を抑えることができます。小さな傷や汚れは、早めに修理・補修することで、大きな費用負担を防ぐことができます。
- 退去時の清掃を徹底する: 退去時には、プロの清掃業者に依頼するのも良いでしょう。プロの清掃によって、汚れや傷を徹底的に除去することで、敷金の返還交渉を有利に進めることができます。自分で清掃する場合でも、隅々まで丁寧に清掃を行いましょう。
- 退去届をきちんと提出する: 退去の意思表示をきちんと行い、退去届を提出しましょう。退去予定日の少なくとも1ヶ月前には、大家に連絡し、退去手続きを開始することが重要です。
- 退去立会いを必ず行う: 退去時には、大家または管理会社と立会を行い、部屋の状態を確認しましょう。この際に、写真や動画を撮影し、記録を残しておくことが重要です。立会いの記録は、後日のトラブル防止に役立ちます。
- 交渉記録を残す: 大家との交渉内容を記録しておきましょう。メールや手紙などの書面でやり取りを行うことが望ましいです。口頭での約束は、証拠として残りにくいので注意が必要です。
専門家のアドバイス:弁護士や不動産会社への相談
もし、敷金返還に関して大家との間でトラブルが発生した場合、弁護士や不動産会社に相談することをお勧めします。 専門家は、契約書の内容を正確に解釈し、適切なアドバイスを与えてくれます。また、交渉や訴訟手続きについてもサポートしてくれます。
特に、契約書に「敷金は返還しない」と記載されている場合、専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズに問題解決を進めることができます。弁護士費用はかかりますが、敷金を取り戻すための費用と比較して、費用対効果が高い場合もあります。
事例紹介:敷金返還トラブルとその解決
例えば、Aさんは契約書に「敷金は返還しない」と記載された物件に住んでいました。退去時に、通常の使用による損耗以外の損傷があったため、大家から敷金の全額返還を拒否されました。しかし、Aさんは入居時の状態を写真で記録していたため、その写真と退去時の状態を比較することで、大家に損傷の程度を説明し、一部の敷金返還を勝ち取ることができました。
この事例からもわかるように、証拠をしっかりと残しておくことが、敷金返還トラブルを防ぐ上で非常に重要です。
まとめ
契約書に「敷金は返還しない」と記載されていても、必ずしも敷金が一切返ってこないわけではありません。通常の使用による損耗を除き、借主が原状回復義務を果たしていれば、敷金は返還される可能性が高いです。しかし、トラブルを防ぐためには、入居時の状態を記録し、定期的な清掃・メンテナンスを行い、退去時の清掃を徹底するなど、細心の注意を払う必要があります。もしトラブルが発生した場合は、弁護士や不動産会社に相談することをお勧めします。