建築インテリアデザインを学ぶ上で、実際に建物や住宅を見学することは非常に重要です。先生からの課題を最大限に活かすためには、ただ眺めるだけでなく、建築物を見るための「視点」を持つことが大切です。この記事では、建築物を観察する際の具体的なポイントを、実践的なアドバイスと共に解説します。大学1年生の皆さんにとって役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後まで読んで、建築探訪を成功させてください。

建築物の見方：5つの視点

建築物を観察する際には、以下の5つの視点を持つことを意識してみましょう。それぞれの視点について、具体的な例を交えながら解説します。

1. ファサード（外観）の観察：第一印象と全体の構成

まず、建物の外見全体をじっくりと観察しましょう。ファサードは建物の顔であり、第一印象を大きく左右します。どのような素材が使われているか、窓やドアの配置、全体のバランス、そして周辺環境との調和などを注意深く見てみましょう。例えば、レンガ造りの建物であれば、レンガの色や種類、積み方、目地の処理などにも注目してみましょう。近代的なガラス張りの建物であれば、ガラスの種類、フレームの素材やデザイン、光の反射の仕方などを観察することで、建物の特徴や設計者の意図が見えてきます。

• 素材：コンクリート、レンガ、木材、石、金属など、どのような素材が使われているか？その素材の質感、色、経年変化は？
• 窓とドア：窓やドアの大きさ、形状、配置、素材は？開口部のデザインは建物の印象を大きく変えます。
• 全体のバランス：建物のプロポーション、シンメトリー、非対称性など、全体のバランスはどうなっているか？
• 周辺環境との調和：建物は周囲の環境とどのように調和しているか？周囲の建物や自然との関係性を観察しましょう。

2. 空間構成と動線：内部空間の繋がりと流れ

可能であれば、建物の内部にも入ってみましょう。内部空間の構成、各部屋の広さ、天井高、窓からの採光、そして部屋と部屋を繋ぐ動線に注目しましょう。動線は、人がどのように空間を移動するかを示すもので、空間の使いやすさや快適性に大きく影響します。例えば、美術館であれば、展示室の配置や動線によって、来場者の導線がどのようにコントロールされているかを観察してみましょう。住宅であれば、玄関から各部屋への導線、そして生活動線全体を意識して見てみましょう。

• 空間の広さ：各部屋の広さ、天井高、空間のボリューム感はどう感じますか？
• 採光と通風：窓の配置、大きさ、光の入り方、通風の具合は？
• 動線：玄関から各部屋への導線、部屋と部屋の繋がり、生活動線はスムーズか？
• 空間の繋がり：各部屋はどのように繋がっているか？空間の連続性や独立性は？

3. ディテール（細部）の観察：素材感と技術

建物の細部にも注目しましょう。ドアノブや照明器具、建具、壁の仕上げなど、小さなディテールにも設計者のこだわりや技術が表れています。例えば、手摺りのデザイン、床材の質感、壁の塗り方など、細部まで観察することで、建物の個性や魅力を発見することができます。また、これらのディテールは、建物のメンテナンスや耐久性にも関わってきます。古くなった建物を観察することで、素材の経年変化やメンテナンスの重要性も学ぶことができます。

• 素材の質感：木材、石、金属などの素材の質感、手触り、色合いなど。
• 施工技術：接合部、仕上げ、ディテールの精度など、施工技術の高さは？
• デザインの意図：細部のデザインに込められた意図を読み解いてみましょう。
• 経年変化：建物の経年変化を観察することで、素材の耐久性やメンテナンスの重要性を理解できます。

4. 機能性と使い勝手：空間の目的と利用者の視点

建築物は、単に美しいだけでなく、その機能性と使い勝手が重要です。建物の用途、利用者のニーズ、そして空間の機能性を考えてみましょう。例えば、図書館であれば、閲覧スペースの配置、書架の配置、静寂性の確保などが重要です。住宅であれば、家族構成、ライフスタイル、そして収納スペースの配置などが重要になります。建築物を観察する際には、利用者の視点に立って、空間の使いやすさや快適性を評価してみましょう。

• 用途：建物の用途は何か？その用途に合った設計になっているか？
• 利用者のニーズ：どのような人が利用するのか？そのニーズを満たす設計になっているか？
• 空間の機能性：各空間の機能は何か？その機能が適切に果たされているか？
• 使い勝手：空間の使い勝手は良いか？改善点はあるか？

5. 歴史的文脈と社会状況：建築物を取り巻く環境

建築物は、その時代背景や社会状況を反映しています。建物の歴史、設計者の思想、そして建築当時の社会状況などを調べることで、建築物の背景や意味をより深く理解することができます。建築雑誌やインターネットなどを活用して、建物の歴史や設計思想について調べてみましょう。また、周辺環境を観察することで、建物の社会的な役割や影響についても考えることができます。

• 建築年代：建物の建築年代はいつ頃か？その時代の建築様式の特徴は？
• 設計者：設計者は誰か？その設計者の他の作品は？
• 建築様式：どのような建築様式に属するか？その様式の背景や特徴は？
• 社会状況：建築当時の社会状況は？建物は社会にどのような影響を与えたか？

実践的なアドバイス：建築探訪を成功させるために

建築物を効果的に観察するために、以下の実践的なアドバイスを参考にしてください。

• スケッチブックとペンを持参する：気になった点をスケッチしたり、メモを取ったりすることで、観察内容を整理することができます。
• 写真撮影をする：後でじっくりと観察するために、写真撮影をしましょう。様々な角度から撮影することで、建物の特徴をより深く理解することができます。
• 関連書籍やウェブサイトを参照する：建物の歴史や設計思想について調べることで、より深い理解を得ることができます。
• 複数回訪れる：時間帯や天候を変えて複数回訪れることで、建物の様々な表情を観察することができます。例えば、朝と夕方の光の変化、雨の日と晴れの日の違いなど。
• 他の人と意見交換をする：友人や先生と意見交換することで、新たな視点を得ることができます。

専門家の視点：建築家からのアドバイス

建築家である山田先生に、建築物を観察する際のポイントについて伺いました。

「建築物を観察する際には、単に美しいかどうかだけでなく、その機能性や使い勝手、そして周辺環境との調和などを総合的に評価することが重要です。また、設計者の意図を読み解くためには、建物の歴史や社会状況なども考慮する必要があります。様々な視点から建築物を観察することで、デザインの奥深さや面白さを発見できるでしょう。」

まとめ

建築物を観察する際には、ファサード、空間構成、ディテール、機能性、そして歴史的文脈という5つの視点を持つことが重要です。これらの視点と実践的なアドバイスを参考に、建築探訪を成功させ、建築インテリアデザインの学習に役立ててください。 多くの建物や住宅を見ることで、デザインセンスや空間認識能力が向上し、将来の建築家としてのキャリア形成に大きく貢献するでしょう。