寝たきり高齢者の夜間吸引と介護現場の課題:医療と介護の連携、そして倫理的な葛藤

ふと気になったのですが、病院に、吸引器による痰の吸引が定期的に必要な、寝たきりの人が入院しているとします。入院の原因となった病気自体は治り、病院としては、治った以上早く退院させようとしました。その折、タイミング良く特養の入所の順番が来て入所できる話が来ました。その特養は夜間は医師は勿論、看護師もおらず、介護職員しかいなくて(しかも1人で20人近い人数に当たっています)夜吸引が必要な状況になれば、口腔内の痰除去は出来ても、気管内吸引は出来ません。本人は発語も無く、意思表示は何もできません。完全に寝たきりで、家族も自宅で介護出来るような状況では全くないので、「もう病院は嫌だ。特養がいいです。」と吸引は必要な状況ですが、話はとんとん拍子に進み、退院。皆よかったよかったと、特養に入所しました。数日後の夜中…その人の部屋から、むせているような声が聞こえ、夜勤中の介護職員が訪室すると痰が詰まっているらしく、便も尿も大失禁してチアノーゼがひどく、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をパルスオキシメーターで測ってみると、10%~20%台、非常に危険な状態なのが、(その介護職員はあまり医療的な知識はありませんでしたが)、ひと目でわかりました。慌てて吸引器を持ってきて、口腔内の吸引、痰除去やらタッピングやら出来ることを全て行いましたが、何も状況は変わりません。意識をもう数十秒以内に失います。一刻も早くどうにかしないと、もう亡くなると思いました。実際、救急車や病院に電話しても、来るのは最低でも20分以上はかかる山奥の特養です。彼らが来る頃には間違いなく死ぬとしたら、①あなたが、今にも死にそうなこの人の家族なら、どうして欲しいですか?②あなたが、この現場に遭遇した介護職員なら、どうしますか?③気管内吸引が医療行為と知りながら、この介護職員は気管内吸引を行い、こと無きを得たが、それがマスコミなどで明るみになった場合、どんなことになりますか?④気管内吸引をしないと、死ぬ状況だとわかっていながら、それをせず、救急車などが来た時には案の定死亡していた場合、この介護職員はどうなるのでしょうか?⑤「④」の時、その結果的に見殺しにした形になる介護職員を、家族が許せず、訴訟を起こした場合、どうなるのでしょうか?また、気管内吸引を行ったにも関わらず、亡くなった場合は、民事訴訟を起こされかつ刑事責任を問われるようなことになるのですか?⑥(もしこの手の話に詳しい方)、現状で、こういう状況の時に、取るべき適切な行動は何ですか?やっぱり「道徳<法」?補足①夜間吸引が必要な人は断るのが通例でしょうが実際現場では、それにも関わらず、家族の意向とか色んな諸事情で…夜間は運に任せたような状態…で特養にいるようなことがある。そう言う話をしたいと思っています…②気管に痰や残渣物が詰まって気道確保が出来てないのに、心臓マッサージやAEDで心臓を無理に動かしても、酸素カラの血液回すだけで、無意味な気がしたのですが、意味あるのですか?③窒息死って楽な死に方なんですか?

1.寝たきり高齢者の夜間吸引:医療と介護の狭間

このケースは、医療と介護の連携、そして介護現場の現実を浮き彫りにする、非常に難しい問題を含んでいます。まず、重要なのは、気管内吸引は医療行為であるということです。医療行為には、医師や看護師といった医療資格を持つ者が行うことが法律で定められています。介護職員が気管内吸引を行うことは、資格外行為にあたり、法律違反となる可能性があります。

2.家族の立場から:最善の選択とは?

もしあなたが家族であれば、まず冷静に状況を把握することが重要です。 パニックに陥らず、以下の点を考慮する必要があります。

  • 医療機関への連絡: 119番への通報が最優先です。救急隊は医療的な処置を行うことができます。
  • 特養への連絡: 特養の責任者や担当者にも状況を伝え、協力体制を構築します。今後同様の事態を防ぐための対策を検討する必要があります。
  • 今後のケアプランの見直し: 夜間吸引が必要な状態であるにも関わらず、適切な医療体制が整っていない施設への入所は、リスクが高いと認識する必要があります。今後、医療体制が充実した施設への転居や、在宅介護への移行などを検討する必要があるかもしれません。
  • 弁護士への相談: もし、医療ミスや介護施設の責任が問われる可能性がある場合は、弁護士に相談し、適切な対応を検討する必要があります。

3.介護職員の立場から:緊急時の対応と法的リスク

介護職員が直面した状況は、非常に困難なものでした。しかし、医療行為である気管内吸引を自ら行ったことは、法的リスクを伴います。

  • 資格外行為: 医療行為を無資格で行ったことは、医師法違反などに問われる可能性があります。
  • 業務上過失致死傷: もし、気管内吸引によって、患者に予期せぬ事態が発生した場合、業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。たとえ善意で行ったとしても、結果的に死亡した場合、刑事責任を問われる可能性があります。
  • 民事責任: 家族が損害賠償請求を行う可能性があります。医療過誤や介護施設の責任が問われる可能性があります。

この状況下では、まず119番通報が最優先です。その後、施設の責任者へ報告し、指示を仰ぐべきです。 状況を正確に記録し、証拠として残しておくことも重要です。

4.適切な行動:法と倫理のバランス

このケースでは、「道徳<法」という単純な構図ではありません。法令遵守を前提とした上で、倫理的な判断も必要になります。 しかし、緊急時において、法令違反を犯すリスクを負ってまで、医療行為を行うべきではありません。

最善の行動は、まず119番通報を行い、救急隊の到着を待つことです。 状況を正確に記録し、施設の責任者にも報告する必要があります。

このケースのような状況を防ぐためには、医療と介護の連携強化が不可欠です。 夜間吸引が必要な高齢者を受け入れる施設は、医師や看護師の協力体制を構築し、緊急時にも対応できる体制を整える必要があります。

5.心臓マッサージとAED:窒息死について

気道が確保されていない状態で、心臓マッサージやAEDを使用しても、効果は限定的です。酸素供給ができないため、心臓を動かすこと自体が意味をなさない可能性があります。まず、気道の確保が最優先です。

窒息死は、苦痛を伴う死であり、決して「楽な死に方」ではありません。

6.インテリアとの関連性:安心安全な空間づくり

この事例は、インテリアとは直接関係ないように見えますが、高齢者の生活空間をデザインする上で、安全面への配慮は非常に重要です。

例えば、特養のような施設では、

  • 緊急ボタンの設置: 各部屋に緊急ボタンを設置し、迅速な対応を可能にする。
  • 見守りシステムの導入: 高齢者の状態を常時監視できるシステムを導入する。
  • 照明の工夫: 夜間の見やすさを考慮し、適切な照明を設置する。
  • 床材の選択: 転倒防止に配慮した床材を選択する。

などの工夫が、安全な生活空間の確保に繋がります。 これらの要素は、インテリアデザインの観点からも重要な要素であり、高齢者の安心安全な生活を支える上で欠かせません。

今回のケースは、医療、介護、そして倫理的な問題が複雑に絡み合った、非常に難しい問題です。 高齢化社会において、このような問題への対策は、社会全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。

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