個人事業主の事務所家賃経費化:自宅が二か所ある場合の対応

個人事業主で事務所の家賃を経費にしたいのですが、現在、九州の自宅(住民票登録している住所)と、東京の賃貸マンションを行き来する生活をしています。東京の自宅の家賃を100%経費にすることは出来るのかどうかを知りたくて、質問させてください。通常、個人事業主のSOHOの場合は、家賃の一部を経費として計上するそうですが、私のように、自宅が二箇所の場合は、どちらか一箇所を事務所として借りれば、事務所の家賃は100%経費に計上できると思いますが、以下の内容ではいかかでしょうか。①東京のマンションは、事務所として借りているのではなくて、自宅として賃貸しています。②近々、大家さんに住居目的ではなくて、事務所として賃貸したい旨を申し出る予定です。③九州の自宅は持ち家なので家賃はかかりません。④東京に長期出張の場合は、東京のマンションに寝泊りします。⑤東京に部屋を借りた理由は、在庫を置く為、取引先が東京に多いので、長期出張のホテル代わりとしてです。九州よりも東京に滞在する日数のほうが多い時期もあります。どうぞ宜しくお願い致します。補足ありがとうございます。不動産の賃貸契約書の内容も変更する必要はありますでしょうか?住居用→事務所用。それとも、大家さんには口頭だけで許可をもらった場合は、以前の契約書のままでも構わないということでしょうか。宜しくお願い致します。

自宅が二か所ある場合の事務所家賃経費化

個人事業主が事務所の家賃を経費として計上する場合、特に自宅が複数あるケースは複雑になります。税務署は、その使用実態を厳しく審査します。質問者様のケースでは、東京のマンションを事務所として使用したいというご希望ですが、いくつかの重要なポイントがあります。

1. 事務所としての使用実態が重要

税務署は、家賃を全額経費として認めるかどうかを判断する際、その物件が実際にどれくらい事業に使用されているかを厳しく審査します。単に「事務所として使いたい」と申し出ただけでは認められません。

* 専属使用:マンションを専ら事業用として使用している場合、家賃の全額を損金(経費)として計上できる可能性が高くなります。
* 兼用使用:居住と事業を兼用している場合、事業に使用している割合に応じて家賃を按分して経費計上します。この割合の算出は、事業に使用している面積や時間などを考慮して行われます。

質問者様のケースでは、東京のマンションを在庫保管場所として利用し、取引先へのアクセスも考慮して賃貸しているとのことです。東京での滞在日数も九州を上回る時期もあるとのことですので、事業使用割合が高いと主張できる可能性があります。しかし、重要なのは証拠です。

2. 契約書の変更と証拠の確保

大家さんへの申し出は口頭ではなく、必ず書面で残すことが重要です。賃貸契約書を「住居用」から「事務所用」に変更する必要があります。口頭での合意だけでは、税務調査の際に不利になります。契約書変更後、改めて契約書を保管しましょう。

さらに、事務所としての使用実態を明確に示す証拠を準備することが不可欠です。具体的には以下のような証拠が有効です。

  • 事業に関連する書類や資料:取引先との契約書、顧客リスト、売上記録など、マンションで事業活動を行っていることを示す書類を保管しましょう。
  • 写真や動画:マンション内の様子を撮影し、事務所として使用している様子を記録しましょう。パソコン、事務机、事業関連の備品などが写っている写真や動画が有効です。
  • スケジュール帳や日報:東京での事業活動の日程や内容を記録したスケジュール帳や日報は、事業使用割合を証明する重要な証拠となります。
  • 取引先からの訪問記録:取引先がマンションを訪問した記録(来客記録簿など)があれば、事業使用の実態を裏付ける証拠となります。

3. 税理士への相談

税務上の判断は複雑なため、税理士への相談が強く推奨されます。税理士は、質問者様の状況を詳しくヒアリングし、最適な経費計上方法をアドバイスしてくれます。また、税務調査に備えた適切な証拠の収集方法についても指導してもらえます。

4. 家賃の経費計上割合の考え方

仮に、東京のマンションを事業と居住の兼用で使用する場合、家賃の経費計上割合はどのように算出されるでしょうか?いくつかの方法があります。

* 面積割合:マンションの面積のうち、事業に使用している部分の割合を計算します。例えば、マンション全体の面積が50㎡で、事業用に使用している面積が20㎡であれば、40%が経費計上可能となります。
* 時間割合:マンションを事業に使用している時間割合を計算します。例えば、1年間で365日中、180日間事業に使用していた場合、50%が経費計上可能となります。
* 複合的な方法:面積割合と時間割合を組み合わせて計算する方法もあります。

5. 事例:成功例と失敗例

成功例:ある税理士事務所の職員が、自宅の一部を事務所として使用し、明確な事業スペースを確保し、事業に関連する書類や備品をきちんと整理整頓し、税務署に提出することで、家賃の一部を問題なく経費計上できた事例があります。

失敗例:自宅を兼用事務所として使用している個人事業主が、明確な事業スペースがなく、私物と事業関連の物が混在し、事業使用時間や面積の明確な証拠を提出できなかったため、家賃経費の計上が認められなかった事例があります。

まとめ

東京のマンションの家賃を100%経費として計上できるかどうかは、事業使用の実態それを裏付ける証拠によって決まります。大家さんとの契約書を「事務所用」に変更し、事業使用の実態を示す証拠をしっかり準備することが重要です。税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くお勧めします。

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