住宅の居室扉のアンダーカットを塞いでも大丈夫?保温対策と法令違反の関係

住宅の居室扉などに施工してある「アンダーカット」と呼ばれる隙間を部屋の保温対策で塞いでしまう事は何らかの法令違反などになるのでしょうか?24時間換気がある場合とない場合ではその答えは変わってきますか?

アンダーカットとは?その役割と塞ぐことのリスク

住宅の居室扉などに設けられている「アンダーカット」とは、扉の下部に数ミリメートルから1センチメートル程度の隙間をあけた部分のことです。この隙間は、単なるデザイン上の工夫ではなく、重要な役割を担っています。それは、空気の流通を確保し、室内の換気を促進することです。

アンダーカットは、扉を閉めた状態でもわずかな空気の流れを作り出し、室内の空気を外気と交換します。これは、生活臭や湿気の排出、新鮮な空気の導入に役立ち、カビやダニの発生抑制結露防止にも繋がります。特に、24時間換気システムのない住宅では、アンダーカットによる自然換気が重要な役割を果たします。

しかし、保温性を高めるためにアンダーカットを塞いでしまうと、この空気の流通が妨げられ、室内の空気の滞留換気不足につながる可能性があります。その結果、カビやダニの繁殖結露の悪化シックハウス症候群などの健康被害のリスクが高まる可能性があります。また、室温のムラが生じたり、暖房効率の低下を招く可能性もあります。

法令違反になる可能性はあるのか?24時間換気システムの有無による違い

アンダーカットを塞ぐことが法令違反になるかどうかは、24時間換気システムの有無、そして住宅の種類によって異なります。

24時間換気システムがない場合

24時間換気システムがない住宅では、アンダーカットは自然換気のための重要な手段となります。このアンダーカットを完全に塞いでしまうと、適切な換気が確保できない可能性が高く、建築基準法や関係条例に抵触する可能性があります。特に、密集住宅湿気の多い地域では、換気不足による健康被害のリスクが高まるため、注意が必要です。

ただし、完全に塞ぐのではなく、通気性を確保できる程度の隙間を残す、または別の換気方法を設けることで、法令違反を回避できる可能性があります。例えば、換気扇を増設したり、窓を開けるなど、代替の換気手段を確保することが重要です。

24時間換気システムがある場合

24時間換気システムが設置されている住宅では、アンダーカットによる自然換気への依存度が低くなります。そのため、アンダーカットを塞いでも、換気システムが適切に機能していれば、法令違反になる可能性は低いと言えます。

しかし、それでも換気効率の低下につながる可能性は否定できません。24時間換気システムは、機械換気によって室内の空気を常に交換するシステムですが、アンダーカットを塞ぐことで、システムの負担が増加し、効率が低下する可能性があります。また、システムの故障メンテナンス不足の場合、換気不足のリスクが高まります。

保温対策と換気の両立:具体的な対策

アンダーカットを塞いで保温性を高めたい場合、法令違反を避けるため、そして健康被害を防ぐためには、換気と保温性の両立を図る必要があります。

1. 隙間テープやパッキンを活用した部分的な塞ぎ

アンダーカット全体を塞ぐのではなく、隙間テープパッキンなどを用いて、部分的に塞ぐ方法があります。これにより、保温性を向上させつつ、空気の流通をある程度確保できます。ただし、テープやパッキンの材質や厚さによっては、通気性が阻害される可能性があるため、通気性を考慮した製品を選ぶことが重要です。

2. 気密性の高い扉への交換

古い扉は気密性が低いため、アンダーカットが大きくても室内の保温効果は低い場合があります。気密性の高い新しい扉に交換することで、アンダーカットを塞がなくても保温性を高めることができます。

3. 換気システムの点検と清掃

24時間換気システムを使用している場合、定期的な点検と清掃を行うことが重要です。フィルターの詰まりや故障などによって換気効率が低下すると、アンダーカットを塞いだ場合と同様の問題が発生する可能性があります。

4. その他の換気方法の導入

窓を開ける、換気扇を使用するなど、アンダーカット以外の換気方法を積極的に活用することで、換気不足を防ぐことができます。

専門家への相談

アンダーカットを塞ぐかどうか迷う場合は、建築士不動産会社などの専門家に相談することをお勧めします。住宅の構造や状況、地域の気候などを考慮した上で、適切なアドバイスを受けることができます。

まとめ

アンダーカットを塞ぐかどうかは、24時間換気システムの有無、住宅の種類、そして塞ぎ方によって、法令違反になる可能性や健康被害のリスクが変化します。保温対策と換気の両立を図るために、上記の対策を検討し、必要に応じて専門家に相談しましょう。安易に塞ぐのではなく、安全で快適な住環境を維持するために、慎重な判断が必要です。

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