介護施設におけるコールボタンと身体拘束:運動ニューロン疾患患者の安全確保と適切な対応

身体拘束や抑制についての質問です。私は介護施設で働いています。うちに入居されてる運動ニューロン疾患の方がいます。その方は最近右の指しか動かなく、コールボタンを握ってもらっても押せない時があり部屋から「おーい、助けてくれー」等と呼ぶ声が聞こえる時があります。そういう事が多々あるため、ご本人の希望で、夜間のみコールを握ったまま右腕にタオルを巻いてコールボタンが滑って逃げない様に工夫をしましたが、それが「拘束になるからダメじゃない?」とスタッフ内で指摘があったようです。これは拘束にあたるのでしょうか?解答お待ちしております。

運動ニューロン疾患と介護における課題:コールボタン操作の困難さ

運動ニューロン疾患は、神経細胞の変性・脱落により筋力の低下や萎縮を引き起こす進行性の難病です。指先の細かい動きが困難になるため、コールボタンなどの操作が難しくなるケースは少なくありません。ご質問にあるように、患者さんが助けを求める際にコールボタンを押せない状況は、安全面において大きな課題となります。 ご担当されている方の状況を鑑みると、夜間の対応として、コールボタンを握ったまま右腕にタオルを巻くという工夫をされたとのことですが、それが身体拘束に該当するかどうかが問題となっています。

身体拘束の定義と判断基準:介護現場における法的・倫理的側面

身体拘束とは、患者の意思に反して、身体の自由を制限する行為を指します。 法律上、明確な定義は存在しませんが、厚生労働省のガイドラインや裁判所の判例などを参考に、以下の点を考慮して判断する必要があります。

  • 患者の意思:本人の同意があるか、ないか。今回のケースでは、ご本人の希望でタオルを巻いたとのことですが、あくまで「滑り止め」であり、強制的なものではない点が重要です。
  • 身体の自由の制限:自由に動ける範囲がどの程度制限されているか。タオルを巻いたことで、腕の動きが完全に制限されているわけではない点も考慮すべきです。
  • 目的と必要性:身体拘束を行う目的が正当で、他に代替手段がないか。今回のケースでは、安全確保という正当な目的があり、他の代替手段(例えば、より握りやすいコールボタン、ベッドサイドの補助ボタンなど)を検討する必要があります。
  • 時間と場所:拘束を行う時間と場所。夜間のみの対応であること、そしてご本人の希望に基づいていることは、判断において重要な要素となります。

タオルによる工夫は拘束にあたるか?専門家の視点と代替案

今回のケースでは、タオルによる工夫が身体拘束に該当するかどうかは、上記の判断基準を総合的に判断する必要があります。 完全に自由に腕を動かせない状態であれば拘束と判断される可能性が高いですが、コールボタンを押せないという状況を改善するための、あくまで補助的な措置である点を考慮すると、必ずしも拘束とは断定できません。

しかし、介護現場においては、身体拘束に該当する可能性のある行為は極力避けるべきです。 もし、この方法が身体拘束と判断された場合、施設の信用問題にも繋がりかねません。

そのため、より安全で、かつ身体拘束に該当しない代替案を検討することが重要です。例えば、以下の様な対策が考えられます。

  • より握りやすいコールボタンの導入:大きなボタン、または握りやすい形状のコールボタンに交換する。
  • ベッドサイドに補助ボタンを設置:ベッドの近くに、簡単に手が届く位置に補助ボタンを設置する。
  • センサーマットの活用:ベッドから離れた際にアラームが鳴るセンサーマットを使用する。
  • 定期的な巡回と声かけ:夜間でも定期的に巡回を行い、患者の様子を確認する。
  • 緊急連絡システムの強化:スタッフが迅速に患者に対応できる体制を整える。
  • 家族との連携:家族と状況を共有し、協力体制を構築する。

専門家への相談:介護施設の倫理委員会や医師との連携

身体拘束に関する判断に迷う場合は、介護施設の倫理委員会や主治医に相談することが重要です。専門家の意見を聞きながら、患者さんの安全と尊厳を確保できる最適な方法を検討しましょう。 倫理委員会は、施設内の倫理的な問題を検討し、適切な対応策を提案する役割を担っています。医師は、患者の病状や状態を把握しており、安全な介護方法をアドバイスすることができます。

まとめ:安全と尊厳を両立させるための継続的な取り組み

運動ニューロン疾患の患者さんの安全確保は、介護施設にとって重要な課題です。コールボタン操作の困難さは、患者さんの不安やストレスを高める可能性があり、適切な対応が必要です。 今回のタオルによる工夫は、状況によっては身体拘束と判断される可能性があるため、より安全で倫理的な代替案を検討し、専門家と連携しながら、患者さんの安全と尊厳を両立させるための継続的な取り組みが求められます。 定期的な見直しを行い、常に最適な方法を追求していくことが重要です。

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