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退去時のトラブル:敷金・礼金の返還と現状回復義務
賃貸借契約では、借主には「現状回復義務」があります。これは、契約終了時に物件を借り受けた時の状態にできるだけ近い状態に戻す義務です。ただし、通常の使用による損耗は除かれます。今回のケースでは、電球の笠の欠損や浴室・洗面所の汚れ、傷などが問題となっています。 借主の主張が「最初から状態が悪かった」というものですが、これは写真や契約時の物件状況報告書などで反証できる可能性があります。
現状回復義務の範囲
現状回復義務は、借主の故意または過失による損耗を修復する義務です。経年劣化による損耗は、借主の負担ではありません。 具体的には、以下の点が重要になります。
- 契約時の状態の確認:契約時に物件の状態を写真やビデオで記録しておくことが重要です。特に、浴室や洗面所などの水回り、壁、床の状態は詳細に記録しておきましょう。
- 通常の使用による損耗:経年劣化による汚れや傷は、借主の負担ではありません。ただし、著しい汚れや傷は、通常の使用の範囲を超えていると判断される可能性があります。
- 故意・過失による損耗:借主の故意または過失による損耗は、借主が責任を負う必要があります。例えば、壁に大きな穴を開ける、故意に物をぶつけるなどです。
具体的な解決策
まず、不動産会社に「当人同士で話してくれ」と言われたことに対して、再度、状況説明を行い、客観的な判断を求めるべきです。 不動産会社が仲介役として適切に機能していない場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。
証拠の収集と整理
現状を客観的に示す証拠を収集・整理しましょう。
- 契約時の写真・ビデオ:物件の状態を記録した写真やビデオがあれば、借主の主張を反論する強力な証拠となります。
- 賃貸借契約書:契約書に、現状回復に関する特約事項がないか確認しましょう。
- 退去時の写真・ビデオ:退去後の物件の状態を記録した写真やビデオも重要な証拠となります。特に、問題となっている箇所を詳細に撮影しましょう。
- 借主とのやり取りの記録:メールやLINEなどのやり取りを記録しておきましょう。
不動産会社への対応
不動産会社に、以下の点を伝えましょう。
- 借主の主張の不当性:契約時の状態と退去時の状態の差異を明確に伝え、借主の主張が不当であることを主張します。
- 証拠の提示:収集した証拠を提示し、客観的な判断を求めます。
- 敷金精算の請求:損害賠償を請求し、敷金から相応の金額を差し引くよう求めます。
弁護士・司法書士への相談
不動産会社との交渉がうまくいかない場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。専門家の助言を得ることで、より効果的な解決策を見つけることができます。 弁護士・司法書士は、証拠の整理や交渉、訴訟手続きなどのサポートをしてくれます。
ハウスクリーニングについて
ご質問の「こちらから出てくださいと言った場合は、ハウスクリーニングも要求できないのでしょうか?」という点ですが、状況次第です。 借主が通常の清掃を怠り、著しく汚れている場合は、ハウスクリーニング費用を請求できる可能性があります。しかし、今回のケースでは、借主が早々に退去したため、ハウスクリーニングを要求するのは難しいかもしれません。 ただし、借主の故意または過失による汚れ・傷については、修理費用や清掃費用を請求できる可能性があります。
早急な金銭要求への対応
連休までに引っ越し費用を理由に早急な金銭要求があったとのことですが、これは不当な要求の可能性が高いです。 敷金精算は、物件の現状確認と損害額の算定が完了してから行われるべきです。 この要求には、毅然とした態度で対応し、正当な手続きを踏むよう伝えましょう。
専門家の視点
不動産賃貸に関するトラブルは、専門知識が必要となるケースが多いです。 弁護士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家に相談することで、より客観的で的確なアドバイスを得ることができ、紛争解決に繋がる可能性が高まります。
まとめ
今回のケースは、証拠の収集と整理、そして不動産会社や専門家への適切な対応が重要です。 焦らず、冷静に一つずつ問題を解決していくことが大切です。 契約書をよく読み、不明な点は専門家に相談することをお勧めします。 今後の賃貸借契約においても、契約時の状態を詳細に記録しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。