自営業で事務所兼住宅としてマンションを購入する場合の減価償却費の計算方法について解説します。確定申告で正しく処理するために、取得価格の算出、ローンの扱い、事業専用割合の計算方法を丁寧に説明します。
Contents
1. 減価償却費の取得価格に含める費用
減価償却費を計算する際の取得価格は、マンションを取得するために実際に支払った費用を合計した金額です。具体的には以下の費用を含めます。
- マンション取得費用:これはマンションの売買契約書に記載されている価格です。土地と建物の価格が別々に記載されている場合は、建物の価格のみを計上します。
- 不動産会社の仲介手数料:マンション購入に際して不動産会社に支払った手数料も取得価格に含めます。これは、マンションを取得する上で必要不可欠な費用だからです。
- マンションの管理費・修繕積立金:これらは取得価格には含めません。 管理費と修繕積立金は、マンションを購入した後の維持管理費用であり、減価償却費の対象となる取得原価には含まれません。これらの費用は、支払った月の経費として計上します。(後述)
つまり、取得価格はマンション本体価格と仲介手数料の合計となります。
2. マンションの取得費用:ローン総額か借入額か
マンションの取得費用は、ローンの総額ではなく、実際にマンションの購入に対して支払う金額(借入額)です。 ローン総額には金利が含まれていますが、金利は減価償却費の計算には含めません。金利は別途「支払利息」として経費計上します。
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3. 事業専用割合の計算方法
事業専用割合は、マンションの面積のうち事務所(倉庫)として使用する部分の割合を計算します。一般的には、事務所(倉庫)部分の床面積をマンション全体の床面積で割る方法で計算します。
例:事務所(倉庫)部分の床面積が20㎡、マンション全体の床面積が100㎡の場合、事業専用割合は20㎡ ÷ 100㎡ = 0.2(20%)となります。
ただし、マンションの構造や間取りによっては、この計算方法が適切でない場合もあります。例えば、事務所部分と居住部分の区画が明確にされていない場合などは、税務署に相談する必要があるかもしれません。
補足事項への回答
補足1:管理費と修繕積立金の費用計上
毎月支払う管理費と修繕積立金は、それぞれ「管理費」、「修繕費」などの科目で計上します。事業用部分と居住用部分に按分して計上する必要があります。按分方法は、事業専用割合を用いて計算します。
例:管理費が月額10,000円、事業専用割合が20%の場合、事業に係る管理費は10,000円 × 20% = 2,000円となります。残りの8,000円は私的費用として処理します。
補足2:ローンの金利の計上
ローンの金利分は、「支払利息」として経費計上します。利子割引料という表現は適切ではありません。支払利息は、事業用部分の割合に応じて按分して計上します。
減価償却費の計算例
マンションの取得価格が3,000万円(建物部分2,000万円、土地部分1,000万円)、仲介手数料が100万円、事業専用割合が20%、耐用年数が47年(木造住宅の場合)と仮定します。
1. 取得価格の算出
取得価格 = 建物価格 + 仲介手数料 = 2,000万円 + 100万円 = 2,100万円
2. 事業用部分の取得価格
事業用部分の取得価格 = 取得価格 × 事業専用割合 = 2,100万円 × 20% = 420万円
3. 年間の減価償却費
年間減価償却費 = 事業用部分の取得価格 ÷ 耐用年数 = 420万円 ÷ 47年 ≒ 8万9365円
上記はあくまで一例です。実際の計算は、マンションの種類、耐用年数、事業専用割合などによって異なります。正確な計算を行うためには、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
専門家の視点
税理士法人などで働く税理士は、減価償却費の計算や確定申告に関する専門知識を持っています。マンション購入を検討する際には、税理士に相談して、最適な方法を検討することを強くお勧めします。複雑な計算や税制改正にも対応できるため、安心して確定申告を行うことができます。
まとめ
事務所兼住宅としてマンションを購入する場合の減価償却費の計算は、取得価格の算出、ローンの扱い、事業専用割合の計算など、複数の要素を考慮する必要があります。正確な計算を行うためには、税理士などの専門家に相談することが重要です。この記事が、マンション購入時の減価償却費計算の理解に役立つことを願っています。