マンションの管理規約作成と管理費改定に関するQ&A

マンションの規約や法律に詳しい人にお尋ねします。古いマンションで部屋数は18くらいだと思います。管理会らしきものはあるのですが、規約がありません。前から管理費が部屋数均等で、倍近い広さの部屋の人も同額の管理費を支払えばよいということになっています。数年前の管理会でそれがおかしいということを訴えてたのですが、多数決で部屋数均等ということで継続しています。規約を新たに作ることを提案しようと思うのですが、どのような手続きを踏めばよいのでしょうか?数年前の議決は現行の規約と判断されてしまうのでしょうか?(その場合4分の3の議決を持って規約変更をしなければならないのでしょうか?)新たな規約で面積按分となった場合、逆上って広い部屋の管理費を請求することができるのでしょうか?質問事項が多くて申し訳わけませんが、ご回答よろしくお願いいたします。

マンションの管理規約がない場合の手続きと管理費の改定について

古いマンションで管理規約がなく、管理費が部屋数均等に設定されているとのこと、そして、その不公平さを訴えたにも関わらず、多数決で現状維持が決定されている状況とのこと、ご心配ですね。管理規約の制定と管理費の改定は、マンションの円滑な運営に不可欠です。以下、一つずつ丁寧に解説していきます。

1. 管理規約がない場合の規約制定手続き

まず、管理規約がない状態から規約を作成するには、区分所有法に基づき、区分所有者全員の同意を得る必要があります。これは、全員が新しい規約に署名・捺印することで成立します。全員の同意を得ることが難しい場合は、総会での決議が必要となります。この場合、区分所有者の過半数の賛成が必要です。

2. 数年前の議決の効力

数年前の管理費決定に関する議決は、規約がない状態での合意とみなされます。しかし、これはあくまで「慣習」であり、法的拘束力のある規約とは異なります。そのため、新たな規約を作成し、管理費の算定方法を面積按分に変更することは可能です。

3. 規約変更に必要な議決権

新たな規約を作成する場合、または既存の規約を変更する場合は、区分所有者の4分の3以上の賛成が必要です(区分所有法第39条)。これは、面積按分への変更も含まれます。

4. 面積按分への変更と過去の管理費請求

新たな規約で管理費を面積按分に改定した場合、過去に遡って広い部屋から追加の管理費を請求することは、原則としてできません。これは、過去の管理費支払いが、当時の合意に基づいて行われたとみなされるためです。ただし、例外的に、明らかに不当な負担があったと認められる場合、裁判で請求できる可能性もありますが、立証が困難なため現実的ではありません。

5. 規約作成における具体的なステップ

規約を作成する際には、以下のステップを踏むことをお勧めします。

  • 専門家への相談:弁護士や不動産管理会社に相談し、マンションの状況に合わせた適切な規約を作成してもらいましょう。専門家のアドバイスは、トラブルを回避する上で非常に重要です。
  • 草案作成:専門家と相談しながら、管理費の算定方法、修繕積立金の積立方法、管理組合の運営方法など、重要な事項を盛り込んだ規約の草案を作成します。管理費の算定方法は、面積按分だけでなく、共用部分の使用状況なども考慮した方法も検討できます。
  • 区分所有者への説明会:作成した草案を区分所有者全員に説明する機会を設け、疑問点や懸念点について丁寧に回答します。説明会は、理解と合意形成を促進するために非常に重要です。
  • 総会での決議:説明会を経て、総会を開催し、規約案について投票を行います。4分の3以上の賛成を得ることが必要です。
  • 規約の登記:総会で可決された規約は、法務局に登記する必要があります。登記することで、法的効力が発生します。

6. 管理費の算定方法:面積按分以外の選択肢

管理費の算定方法は、面積按分以外にも、以下の方法があります。

  • 部屋数按分:部屋数に基づいて管理費を算定する方法です。現状の方法ですが、公平性に欠けるため、面積按分への変更が望ましいです。
  • 共用部分の使用状況按分:共用部分の使用状況に応じて管理費を算定する方法です。例えば、駐車場の使用状況や、ベランダの広さなどを考慮する方法です。
  • 複合方式:面積按分と部屋数按分、または面積按分と共用部分の使用状況按分を組み合わせる方法です。マンションの特性に合わせて最適な方法を選択できます。

7. 専門家の視点

弁護士や不動産管理会社の専門家は、規約作成のプロセスにおいて、法的観点からのアドバイスや、紛争回避のための戦略立案などをサポートしてくれます。特に、複雑な問題や、意見の対立が予想される場合は、専門家の力を借りることを強くお勧めします。

まとめ

管理規約がない状態での管理費の算定方法変更は、区分所有者全員の合意、または総会での4分の3以上の賛成を得る必要があります。過去に遡って管理費を請求することは難しいですが、将来に向けて公平な管理体制を構築するために、新しい規約の作成は不可欠です。専門家のアドバイスを得ながら、丁寧な手続きを進めることで、円滑なマンション運営を実現できるでしょう。

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