マンションと隣接する印刷会社のVOC問題:健康被害と法的対応

揮発性有害物質について教えて下さい。住んでいるマンションの目の前に(1mも幅がない)に、新聞の印刷会社が建っています。マンションは24時間換気ですが、換気口の入り口に、印刷屋があります。この場合、やはり印刷インキのVOCが部屋に流れ込んできているのでしょうか?引っ越ししてきてから間もなく、胸の痛みと、原因不明の咳が止まらなくて困っています。また、原因が印刷会社の有害物質だとしたら、どこかに損害賠償など申し立てられるのでしょうか?

印刷インキと揮発性有機化合物(VOC)

ご心配されている通り、印刷インキには揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)が含まれている可能性が高く、それが健康被害の原因となっている可能性があります。VOCは、常温で気化する有機化合物で、印刷インキ、塗料、接着剤などに多く含まれています。代表的なVOCにはトルエン、キシレン、ベンゼンなどがあり、これらは人体に悪影響を及ぼすことが知られています。特に、印刷会社のように大量にVOCを使用する環境では、周辺への影響が懸念されます。

マンションの換気口が印刷会社のすぐ隣にあるという状況は、VOCが室内に流入するリスクを高めます。24時間換気システムは、室内の空気を常に外気と交換する仕組みですが、換気口のすぐ隣にVOC発生源がある場合、新鮮な空気ではなく、VOCを含む空気を吸い込んでしまう可能性が高いのです。

胸の痛みと咳の原因:VOCの可能性と確認方法

胸の痛みと原因不明の咳は、VOCの吸入による健康被害の可能性があります。VOCの吸入による症状としては、頭痛、めまい、吐き気、呼吸器系の症状(咳、喘息など)、皮膚炎などが挙げられます。しかし、これらの症状は他の原因によっても引き起こされるため、VOCが原因であると断定するには、専門家の診断が必要です。

VOCによる健康被害を疑う場合、以下のステップで確認することをお勧めします。

  • 医師への相談: まずは、医師に症状を詳しく説明し、診察を受けてください。血液検査やレントゲン検査などを行い、原因を特定する必要があります。VOC曝露の可能性を医師に伝え、適切な検査を依頼しましょう。
  • 環境測定: 医師の診断と合わせて、室内空気中のVOC濃度を測定することが重要です。専門業者に依頼し、室内空気中のVOC濃度を測定してもらいましょう。測定結果に基づいて、VOCが健康被害の原因であるかどうかを判断することができます。特に、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの濃度を測定することが重要です。
  • 記録の保持: 症状が出始めた時期、症状の内容、印刷会社の状況など、関連する情報を記録しておきましょう。これは、後々の損害賠償請求などに必要な証拠となります。

損害賠償請求の可能性

もし、環境測定の結果、室内空気中のVOC濃度が高く、それが健康被害の原因であると判明した場合、印刷会社に対して損害賠償請求を行うことができます。

請求を行うためには、以下の証拠が必要となります。

  • 医師の診断書: VOCによる健康被害であることを示す医師の診断書が必要です。
  • 環境測定結果: 室内空気中のVOC濃度を示す環境測定結果が必要です。
  • 因果関係の証明: VOC曝露と健康被害との因果関係を明確に示す必要があります。専門家の意見書などを活用すると有効です。
  • 損害額の算定: 治療費、休業損害、慰謝料など、具体的な損害額を算定する必要があります。

損害賠償請求は、弁護士に依頼することを強くお勧めします。弁護士は、証拠の収集、交渉、訴訟手続きなど、専門的な知識と経験に基づいてサポートしてくれます。

具体的な対策とアドバイス

印刷会社のVOCの影響を軽減するために、以下の対策を検討してみましょう。

  • 空気清浄機の設置: 高性能な空気清浄機を設置し、VOCを除去しましょう。特に、HEPAフィルターと活性炭フィルターを備えた機種が効果的です。フィルターの交換頻度にも注意が必要です。
  • 窓の閉鎖: 印刷会社からの風の流れを遮断するために、窓を閉めることを検討しましょう。ただし、換気は必要なので、定期的に窓を開けて換気を行う必要があります。換気扇を使用する際には、排気方向に注意しましょう。
  • 室内植物の活用: 一部の植物には、VOCを吸収する効果があると言われています。観葉植物などを室内に置くことで、VOC濃度を下げる効果が期待できます。ただし、すべての植物に効果があるわけではありませんので、効果的な植物を選ぶ必要があります。
  • 専門家への相談: 建築士や環境コンサルタントなどに相談し、VOC対策について専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。状況に応じて、換気システムの改善や、VOCの遮断対策などを検討できます。

専門家の視点:環境コンサルタントからのアドバイス

環境コンサルタントの視点から、このケースではまず、客観的なデータに基づいた調査が重要です。 室内空気質の測定だけでなく、印刷会社からのVOC排出量や風向風速などの調査も必要です。これにより、VOCが実際にマンションにどれだけの影響を与えているのかを定量的に把握することができます。 その上で、適切な対策を検討し、必要であれば、行政機関への相談や、印刷会社との交渉を行うべきです。

まとめ

マンションと隣接する印刷会社のVOC問題については、まずは医師の診断と室内空気質の測定を行い、VOCが健康被害の原因であるかどうかを明確にすることが重要です。その上で、VOCの影響を軽減するための対策を講じ、必要であれば、弁護士に相談して損害賠償請求を行うことを検討しましょう。 早期の対応が、健康回復と権利保護に繋がります。

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