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テナント退去時の原状回復トラブル:問題点の整理
このケースは、賃貸契約書の内容、仲介業者の不適切な対応、そしてオーナー側の過剰な要求が複雑に絡み合った典型的な原状回復トラブルです。まず、問題点を整理しましょう。
* **契約書の不備と確認不足:** 契約書原本が存在せず、内容も曖昧なまま契約が進められたことが大きな問題です。特に、原状回復に関する記述が不足しており、双方の解釈に大きな食い違いが生じています。
* **仲介業者の不適切な対応:** 仲介業者は契約書を確認せず、オーナーの意向を一方的に伝えるだけで、客観的な立場を維持できていません。これは、専門家としての責任を果たしていないと言えるでしょう。
* **オーナー側の過剰な要求:** オーナー側は、契約書に明記されていない内容や、現状回復の範囲を超えた要求をしている可能性があります。
各問題点への具体的な対応策
それでは、各問題点への対応策を具体的に見ていきましょう。
1. 入口変更による外壁の修復
契約書に「入口の位置を移動」と記載されているにも関わらず、元入口開口部の修復を要求するのは、オーナー側の過剰な要求と言える可能性が高いです。ただし、修復が必要な範囲が「みっともない」程度なのか、構造的な問題があるのかによって判断が変わります。写真や動画で現状を記録し、専門業者(建築士など)に現状の確認と修復の必要性、費用について見積もりを取ることが重要です。これにより、客観的な判断材料を得ることができます。
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2. 部屋拡張と腰壁の撤去
契約書に「室内に部屋は残されていましたので、部屋を拡張し、使用」と記載されていることから、部屋の拡張自体は契約違反とは言い切れません。しかし、拡張部分の撤去を求められる可能性はあります。これも、専門業者に相談し、撤去費用や、現状維持による代替案などを検討しましょう。腰壁についても同様です。
3. プラ壁面看板①の補修
契約書に「オーナーは対象物件のプラ壁面看板①、敷地内鉄柱看板を撤去する」と記載されているにも関わらず、撤去されなかったのはオーナー側の責任です。看板の処分済みであることを証明できる資料(写真、廃棄証明書など)を準備し、補修の必要性を主張する根拠として提示しましょう。
4. エアコン穴の補修
エアコンの撤去・新設は、テナント側の責任範囲内と判断される可能性が高いです。しかし、穴の補修費用が過剰な場合は、交渉の余地があります。これも専門業者に見積もりを取って、妥当な費用を提示しましょう。
5. 以前あったエアコンの返却
契約書に「オーナーによる室内動産類を全て撤去」と記載されているため、オーナー側の責任です。処分済みであることを証明する資料を準備しましょう。
6. 敷金返還時期
立ち会い検査が完了した時点で、敷金の返還請求ができます。オーナー側が原状回復費用を請求する場合は、具体的な費用内訳と根拠を示すよう要求しましょう。
仲介業者への対応
仲介業者は、契約書を確認せず、オーナーの意向を一方的に伝えるなど、不適切な対応をしています。まずは、契約書原本の提示を強く要求しましょう。それでも対応が改善されない場合は、宅地建物取引業法に基づき、苦情を申し立てることも検討しましょう。必要であれば、消費者センターや弁護士に相談することも有効です。
専門家への相談
原状回復トラブルは、法律的な知識や専門的な判断が必要なケースが多いです。弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談することで、より適切な対応策を立てることができます。特に、契約書に曖昧な点が多い場合、専門家のアドバイスは不可欠です。
まとめ:具体的な行動計画
1. **契約書原本の入手:** 仲介業者に契約書原本の提示を要求します。
2. **専門家への相談:** 弁護士や不動産鑑定士に相談し、法的観点からのアドバイスを受けます。
3. **現状の記録:** 写真や動画で現状を記録し、証拠として残します。
4. **専門業者への見積もり依頼:** 修復や撤去が必要な箇所の見積もりを専門業者から取得します。
5. **交渉:** オーナー側と交渉を行い、妥当な原状回復費用を決定します。
6. **証拠資料の整理:** 契約書、写真、見積もり、専門家の意見書などを整理します。
7. **書面でのやり取り:** 重要な事項は、書面で記録を残しましょう。
これらのステップを踏むことで、トラブルをスムーズに解決し、正当な権利を守ることができます。
