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テナントビルにおけるブレーカーのトリップ:原因究明と対策
テナントビルの管理業務において、ブレーカートリップはよくあるトラブルです。特に照明器具の故障による過電流は、共用部ブレーカーのトリップにつながることがあります。今回のケースでは、テナント室内の照明が落ち、共用部の30Aブレーカーがトリップしたとのこと。焦らず、一つずつ問題点を整理していきましょう。
質問①:室内の漏電ブレーカーが落ちていない場合、過電流と判断して良いのか?
テナント室内に設置された分電盤のブレーカーが落ちておらず、共用部のブレーカーのみがトリップした状況では、過電流の可能性が高いと言えます。漏電ブレーカーは漏電を検知して作動しますが、今回は作動していないため、漏電は原因として考えにくいでしょう。
しかし、過電流と断定するには、もう少し詳細な調査が必要です。例えば、トリップした直後の照明器具の状況(異常な発熱や焦げ跡など)、照明器具のワット数と回路の許容量、他の電化製品の使用状況などを確認することで、より正確な原因特定が可能になります。
- 照明器具の点検:トリップの原因となった照明器具を重点的に点検し、故障個所がないか確認しましょう。内部の配線や接続部分の緩み、劣化、ショートなどがないか注意深く調べます。場合によっては専門業者に点検を依頼することをお勧めします。
- 回路の許容量確認:該当回路の許容量(アンペア数)を確認し、接続されている照明器具の消費電力合計が許容量を超えていないか確認しましょう。超過している場合は、回路の増設や照明器具の交換が必要です。
- 同時使用機器の確認:トリップ発生時に、他の電化製品が同時に使用されていたか確認しましょう。複数の高出力機器が同時に使用されると、過電流となりブレーカーがトリップする可能性があります。
質問②:室内と共用部に分電盤がある理由と一般的な設置状況
テナントビルでは、安全確保と管理の容易性を目的として、室内と共用部にそれぞれ分電盤を設置するのが一般的です。
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- 共用部分電盤:共用部分(廊下、階段、エレベーターなど)の照明、エアコン、非常灯などの電力供給を管理します。これは、テナント個々の状況に関係なく、共用部分の電力が安定して供給されるようにするためです。
- テナント室内分電盤:テナント個々の部屋で使用される電力(照明、コンセント、エアコンなど)を管理します。これにより、テナント個々の電気使用状況を管理し、トラブル発生時の迅速な対応が可能になります。また、テナント間の電気系統を分離することで、一室でのトラブルが他のテナントに影響を与えるのを防ぎます。
すべてのビルで必ず別々の分電盤があるとは限りませんが、特に規模の大きいテナントビルでは、安全面と管理の容易さから、この様な構成が一般的です。
質問③:30Aブレーカーが頻繁にトリップする場合の対処法と電気料金への影響
30Aブレーカーが頻繁にトリップする場合は、ブレーカー容量の増設を検討する必要があります。しかし、安易に容量を増やすのではなく、原因究明が最優先です。 容量を増やしても、根本原因が解決されない限り、同じ問題が繰り返されます。
まず、前述した通り、照明器具の故障、回路の許容量超過、同時使用機器の確認など、過電流の原因を徹底的に調査しましょう。原因が特定できれば、適切な対策(照明器具の交換、回路の増設、機器の使用制限など)を行うことで、ブレーカーのトリップを防止できます。
それでもトリップが続く場合は、ブレーカー容量の増設を検討しますが、電気工事士に相談し、適切な容量を選定してもらうことが重要です。安易に容量を増やすと、配線の容量を超えてしまい、火災などの危険性が高まります。
ブレーカー容量の増設に伴い、電気料金が上がることはありません。ブレーカーは電力の供給量を制限するものであり、使用電力量そのものを変えるものではないからです。料金は、実際に使用した電力量によって決定されます。
専門家の視点:電気工事士への相談
ブレーカーのトリップは、電気設備の安全性を脅かす可能性のある重大な問題です。専門知識がない状態で安易に判断・対処せず、電気工事士などの専門家に相談することが重要です。彼らは適切な調査を行い、原因特定、対策、そして必要であればブレーカー容量の増設などを含む安全な電気設備の維持管理についてアドバイスしてくれます。