インテリアデザイナーの葛藤:確固たるコンセプトは必要?感覚を大切にするデザインのあり方

私はインテリアのデザインや家具のデザインをやっています。最近悩みがあって、私は制作物に対して熱いコンセプトみたいなものがありません。美しいと感じる形を追求していくと自然とその形になるといったかんじの物作りをしています。言ってしまえば私の感覚です。たくさんハイエンドの空間や家具を見てきて形の感覚に対する自信はあるのですが、デザイナーとして確固たるコンセプトや信念が必要なのでしょうか?

デザインにおける「コンセプト」の役割とは?

インテリアデザインや家具デザインにおいて、「コンセプト」は単なる流行り言葉ではありません。それは、あなたのデザインの根底にある思想、哲学、そしてクライアントへのメッセージを明確に表現するものです。 コンセプトは、デザインのあらゆる要素を結びつけ、一貫性と説得力をもたらします。 例えば、ミニマルな空間をデザインする際に、「シンプルさの中に洗練された美しさを見出す」というコンセプトがあれば、素材選び、色彩、レイアウト、家具の配置に至るまで、そのコンセプトに沿った統一感のあるデザインが実現します。 逆に、コンセプトが曖昧なままデザインを進めると、バラバラな要素が寄せ集まった、まとまりのない作品になりかねません。 しかし、これは「コンセプトがないとダメ」という意味ではありません。あなたの「美しいと感じる形を追求していくと自然とその形になる」というデザインプロセスは、それ自体が一つのコンセプトになり得るのです。 重要なのは、その「感覚」を言語化し、明確に表現することです。

「感覚」をコンセプトに変換する方法

あなたのデザインの根底にある「感覚」を、クライアントや周囲の人にも理解してもらえるように、言葉で表現してみましょう。 例えば、以下のようなアプローチが考えられます。

1. デザインのインスピレーション源を特定する

あなたのデザインに影響を与えているものは何でしょうか? 自然、建築、芸術、旅行、音楽、映画… 具体的なインスピレーション源を特定することで、あなたのデザインの核となる「感覚」をより明確に把握できます。 例えば、「北欧の自然からインスピレーションを得た、シンプルで機能的なデザイン」や「日本の伝統美を現代的に解釈した、洗練された空間」といったように、具体的な言葉で表現することで、あなたのデザインの独自性を際立たせることができます。

2. デザインの特徴を分析する

あなたのデザイン作品をいくつかピックアップし、共通点を探してみましょう。 例えば、「曲線の美しさ」「素材の質感を重視したデザイン」「光と影の演出」など、あなたのデザインの特徴を具体的にリストアップします。 これらの特徴を組み合わせることで、あなたのデザインスタイルを定義するコンセプトを構築できます。

3. ターゲット層を明確にする

誰のためのデザインなのかを明確にすることも重要です。 ターゲット層によって、デザインのコンセプトも変わってきます。 例えば、若い世代向けのモダンなデザインと、高齢者向けの快適で安全なデザインでは、コンセプトも大きく異なるはずです。

4. キーワードを設定する

あなたのデザインを表現するキーワードを3つから5つほど選びましょう。 例えば、「シンプル」「ナチュラル」「温もり」「洗練」「機能性」などです。 これらのキーワードを常に意識することで、デザインの一貫性を保つことができます。

具体的な事例:感覚をコンセプトに昇華させたデザイナー

多くの著名なデザイナーは、明確なコンセプトを提示しているわけではありません。しかし、彼らの作品には、一貫した美意識や哲学が感じられます。例えば、建築家の隈研吾氏は、日本の伝統的な木造建築の技術と現代的なデザインを融合させた独特のスタイルで知られています。彼の作品には、「自然との調和」「素材の美しさ」「繊細な技術」といった要素が共通して見られます。これは、彼自身の「感覚」を長年の経験と探求を通して、明確なデザイン哲学として昇華させた結果と言えるでしょう。

専門家の視点:感覚とコンセプトのバランス

インテリアデザイナーとして活躍されている山田先生に、この問題についてお話を伺いました。山田先生は、長年数々のプロジェクトを手掛け、多くの賞を受賞されています。 山田先生:「確かに、明確なコンセプトは重要です。しかし、それは『型にはまったデザイン』を意味するものではありません。あなたの『感覚』を大切にすることは素晴らしいことです。その感覚を言葉で表現し、それを軸にデザインを進めていくことで、オリジナリティあふれる作品を生み出せるはずです。重要なのは、感覚とコンセプトのバランスです。感覚をベースに、コンセプトを構築し、それを具体的に表現していく。その過程で、新たな発見やインスピレーションが生まれることもあります。」

実践的なアドバイス:ポートフォリオ作成と発信

自分のデザインを客観的に評価し、改善していくためには、ポートフォリオを作成し、積極的に発信することが重要です。 オンラインポートフォリオを作成し、あなたのデザイン作品を公開しましょう。 作品一つ一つに、デザインコンセプトや制作過程、使用した素材などを丁寧に説明することで、あなたのデザインに対する理解を深めることができます。 また、SNSなどを活用して、あなたのデザインを発信することで、フィードバックを得たり、新たなクライアントとの出会いを生み出すことも可能です。

まとめ:感覚とコンセプトの融合

「確固たるコンセプト」は、あなたのデザインを成功に導くための重要な要素です。しかし、それはあなたの「感覚」を否定するものではありません。 あなたの「美しいと感じる形」という感覚を起点に、それを言葉で表現し、明確なコンセプトとして昇華させることで、あなた独自の、魅力的なデザインを生み出せるはずです。 インスピレーション源の特定、デザインの特徴分析、ターゲット層の明確化、そしてキーワードの設定を通して、あなたの「感覚」をコンセプトに変換し、それを実践していきましょう。

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