アパート共有における売却問題と解決策:兄弟姉妹間の合意形成と裁判手続き

アパートをきょうだい3人で所有しています。3年前、売却しようとみんなで約束しましたが、一人が、今は売りたくないと言い出しました。裁判所に申し出れば、売却を強制してもらえるのでしょうか。亡くなった親からアパートを受け継ぎ、きょうだい3人で家賃収入を得ています。持ち分は3分の1で、毎月家賃を3等分しています。3人とも別々の中古分譲マンションに住んでいますが、ペットを飼いたい、部屋が狭いなどそれぞれの理由で、3人とも引っ越しを希望していました。2011年6月、アパートを売却したいと私が提案すると、きょうだい2人は同意。私はすぐ売却したかったのですが、2人が3年後に、と言うので、2014年春に売却しようと約束しました。ところが今月、アパートを査定すると思いのほか安かったので、きょうだいの一人が、もう少し景気がよくなるまで売りたくないと言い出しました。私はこの先、築25年のアパートの価格が飛躍的に上がるとは思えないし、3年も我慢したので、もう限界です。第一、3人ともアパートを売却したお金で物件を買うつもりなので、売却価格が上がれば、購入価格も上がるはず。なので、いつ売却しても、結局購入できる物件はそれなりの物件と私は思うのですが、きょうだいは聞く耳を持ちません。共有物件は、だれか一人でも売却したいと申し出たら、売却するのがスジではないでしょうか。裁判沙汰にしたくはありませんが、裁判所に申し出たら、売却を指導または強制してもらえるのでしょうか。また裁判費用などはどれくらいかかるのでしょうか。

共有不動産の売却と兄弟姉妹間のトラブル

相続によって取得した不動産を兄弟姉妹で共有している場合、売却に関する意見が一致しないケースは少なくありません。今回のケースのように、当初は売却に合意していたものの、市場価格や経済状況の変化によって意見が分かれることは、よくあるトラブルです。築25年のアパートという点も、価格変動への懸念を高める要因となっています。

共有不動産の売却は「合意」が基本

まず重要なのは、共有不動産の売却は、所有者全員の合意がなければできないという点です。たとえ一人が売却を強く望んでいても、他の所有者が反対すれば、売却はできません。これは民法上の共有に関する規定に基づきます。

話し合いの重要性と具体的なステップ

裁判沙汰になる前に、まずは話し合いを徹底することが重要です。感情的な対立を避け、それぞれの立場や考えを冷静に伝え合うことが必要です。具体的なステップとしては、以下の通りです。

  • 現状の確認:アパートの現状(築年数、家賃収入、修繕状況など)と市場価格を改めて確認し、共有しましょう。不動産会社に査定を依頼し、客観的なデータに基づいて話し合うことが重要です。
  • 売却のメリット・デメリットの整理:売却によるメリット(資金の有効活用、個々の生活環境の改善など)とデメリット(売却価格の低さ、新たな物件購入の手間など)を、それぞれの視点から整理します。スプレッドシートなどを活用して、視覚的に整理すると効果的です。
  • 代替案の検討:売却以外の選択肢(例えば、アパートを賃貸経営を続ける、一部共有者の持ち分を買い取るなど)についても検討します。全員が納得できる代替案が見つかる可能性もあります。
  • 専門家の活用:話し合いが難航する場合は、不動産会社や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、客観的な視点からアドバイスを与え、合意形成を支援してくれます。

裁判による売却請求:最後の手段としての解約請求

話し合いが完全に決裂し、合意に至らない場合は、裁判による解決を検討する必要があります。民法では、共有物の共有者の一方が、他の共有者に対して、共有物の分割または解約を請求できる規定があります(民法257条)。アパートの売却は、この解約請求に該当します。

解約請求の手続きと費用

解約請求は、裁判所に訴訟を提起することで行われます。裁判手続きには、弁護士への依頼、訴状の作成、証拠書類の提出、そして裁判での審理など、多くの時間と費用がかかります。

  • 弁護士費用:弁護士への依頼は必須です。弁護士費用は、事件の難易度や弁護士の報酬体系によって異なりますが、数十万円から数百万円程度かかる可能性があります。
  • 裁判費用:印紙代、郵便切手代などの裁判費用も必要です。金額は事件の規模によって異なります。
  • その他費用:不動産鑑定費用、専門家への相談費用なども必要となる場合があります。

裁判の結果

裁判所は、共有者の事情やアパートの状況などを総合的に判断し、売却を命じるかどうかを決定します。必ずしも売却が認められるとは限りません。裁判の結果、売却が認められたとしても、売却価格や売却方法については、裁判所の判断に従う必要があります。

裁判以外の解決方法:調停

裁判の前に、調停という手続きを利用することもできます。調停は、裁判所が仲介役となり、当事者間で話し合いを進める手続きです。裁判よりも費用が安く、迅速に解決できる可能性があります。

まとめ:早期の合意形成が重要

共有不動産の売却は、合意が基本です。裁判は、時間と費用がかかり、結果も不確実です。まずは、兄弟姉妹間で冷静に話し合い、合意形成を目指しましょう。専門家の力を借りながら、納得できる解決策を見つけることが重要です。もし話し合いが難航する場合は、調停を検討し、それでも解決しない場合のみ裁判を検討することをお勧めします。

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