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賃貸退去時のクリーニング費用:借主の負担は?
賃貸契約書に「退去時のルームクリーニング費用は借主負担」と明記されている場合、原則として借主が費用を負担しなければなりません。しかし、今回のケースのように、入居時から著しい汚れがあったり、大家さんが簡易的な清掃しか行っていなかったりする場合、クリーニング費用全額の負担を求められるのは不当だと感じるのも無理はありません。
入居時の状態と現状回復義務
賃貸借契約において、借主には「原状回復義務」があります。これは、借主が使用した部分について、契約終了時に元の状態に戻す義務のことです。ただし、この義務は「通常の使用による損耗」を除きます。入居時から存在していた汚れは、通常の使用による損耗とはみなされず、大家さんの責任となります。
- 入居時の状態を写真や動画で記録しておくことが重要です。証拠として残しておけば、後々のトラブル防止に繋がります。
- 契約書に記載されている「原状回復」に関する条項を、入居前にしっかりと確認しましょう。
大家さんの清掃状況とクリーニング費用請求
大家さんが自ら清掃しているのを目撃されたとのことですが、これは重要な情報です。大家さんが自ら清掃しているにも関わらず、借主に高額なクリーニング費用を請求するのは、不当な請求とみなせる可能性があります。
交渉のポイント:証拠と根拠
大家さんとの交渉においては、以下の点を明確に伝えましょう。
- 入居時の汚れの状態を写真や動画、できれば入居時のチェックリストなどで証明する
- 大家さんが自ら清掃している様子を目撃した事実を伝える
- クリーニング業者の見積もりを提示することで、請求金額の妥当性を検証する
- 契約書に記載されている「原状回復」に関する条項を改めて確認する
これらの証拠を提示することで、大家さんも請求金額を再考する可能性があります。
クリーニング費用が高額な場合の対処法
請求された金額に納得いかない場合は、以下の方法を検討しましょう。
1.大家さんとの交渉
まずは大家さんと冷静に話し合い、請求金額の根拠を尋ねてみましょう。入居時の状態や、大家さんの清掃状況などを説明し、費用を減額するよう交渉します。
2.専門家への相談
交渉が難航する場合は、弁護士や不動産会社などに相談することをおすすめします。専門家は、法律的な観点からアドバイスをしてくれるので、より有利に進めることができます。
3.調停・訴訟
交渉や専門家への相談でも解決しない場合は、調停や訴訟という手段も考えられます。ただし、時間と費用がかかるため、最終手段として検討しましょう。
具体的なクリーニング方法と費用を抑える工夫
退去時のクリーニング費用を抑えるためには、できる範囲で自分で清掃を行うことが効果的です。
自分でできる清掃
- 壁の汚れ:中性洗剤を薄めた水で拭き掃除
- 床の汚れ:掃除機をかけ、雑巾で拭き掃除。頑固な汚れには、床材に適した洗剤を使用
- 水回り:重曹やクエン酸などの自然洗剤を使用し、丁寧に清掃
- 換気扇:重曹ペーストを塗布し、時間をおいてから洗い流す
ただし、カビや油汚れなど、自分で落とすのが難しい汚れは、プロに依頼する方が効率的です。
費用を抑えるための工夫
- 複数の業者から見積もりを取ることで、価格を比較検討できます。
- 清掃範囲を明確にすることで、不要な作業を省き、費用を抑えることができます。
- 自分でできる清掃は自分で行い、プロに依頼する範囲を絞ることで費用を抑えられます。
専門家の視点:弁護士からのアドバイス
弁護士の視点から見ると、大家さんが入居前に適切な清掃を行っていないにも関わらず、退去時に借主に高額なクリーニング費用を請求するのは、不当な請求の可能性が高いです。入居時の状態を明確に証拠として残しておくことが、非常に重要になります。
まとめ:冷静な対応と証拠の確保が重要
賃貸退去時のルームクリーニング費用は、契約書に記載されている通り、借主が負担するケースが多いですが、入居時の状態や大家さんの対応によっては、交渉の余地があります。冷静に対応し、証拠をしっかりと確保することで、不当な請求を回避できる可能性が高まります。 費用を抑えるためには、自分でできる清掃は行い、プロに依頼する範囲を絞り込むことも有効です。 必要であれば、専門家への相談も検討しましょう。