「劇的ビフォーアフター」と建築士の倫理:テレビと現実のギャップ

劇的!!ビフォー→アフターの番組について。不定期で番組観ている建築士です。あの番組に出てくる一級建築士(デザイナー)は本当に、一級建築士なのでしょうか(と思いますか)?「斬新!!」…と思うことが多々ありますが、業界人として、法律度返しした考案が散見されるように思います。テレビ的によく見えても、実際の使い勝手が悪いだろうと思われるのも多く感じるし…。たまにお客様から、「テレビのような提案を」と言われますが、業界人的には、理屈っぽくなってしまって、うまく、「あれは、テレビですよ」…的な説明に苦労します。番組に出てくる、「一級建築士」は、「インテリアコーディネーター」等にして頂きたいと個人的に思います。本当に国家資格のある、「一級建築士」の方であれば、言葉は悪いですが、「売名行為」とも取れ、建築基準法の総則を無視し、建築士の恥じとも思うことがあります(一概には言えませんが)。過去にデザイン優先で実際には品質に問題があり、裁判になった事例もあるみたいだし。それでも番組が続くのは、人気番組だからでしょうね。一般の方には、「プロの提案だから」全てお任せって(信用しきっている)感じなのですかね。実際に予算を考えると、「建替えた方がよいのでは…」と思いますが。取りとめのない質問(?)ですが、一級建築士の方のご意見頂けると幸いです。補足補)私・個人の主観的な見解もあり拙い文面にも関わらず、ご回答有難うございます。1、番組的にしても、許認可が必要と思われるのを無許可で手掛けているのがあります(前述通り、一概ではありません)。本当に一級建築士の方が手掛けているのであれば、節操のない方と思います。違法性のあるものを手掛けいても一般の方が見ると、「一級建築士の提案」とカテゴリにされるのが、個人的に嫌です。2、建築基準法総則に「…、建物の敷地、構造、設備及び用途…最低の基準…国民の生命、健康及び財産の保護…」と明記されています。意匠は目を引くものがあっても生活する上で機能せず、裁判事例で訴えられた建築士が過去に番組名(同番組)と建築士名が新聞に載っていました。3、番組のコンセプトは、リフォーム(使い勝手の改善)でしたね!失礼致しました。「あの番組は専門家なら見ない方が良い!」と言われる同業者は多いですね(笑)。個人的に番組を全否定している訳ではなく、観る時もあります。知恵袋での質問は…、と思いましたが、主に建築士の方の、専門的な意見をお伺いしたかったもので、質問させて頂いた事をご理解頂けると有難く思います。

「劇的ビフォーアフター」に見る、テレビと現実の乖離

「劇的ビフォーアフター」は、リフォームやリノベーションの成功例を視聴者に提示することで、大きな反響を得ている人気番組です。しかし、番組内で提示される提案の中には、建築基準法や実際の居住性を軽視しているように見えるものも少なくありません。質問者様のおっしゃる通り、デザイン重視で使い勝手が悪かったり、法規に抵触する可能性のある提案も見受けられます。これは、テレビというメディアの特性と、視聴者の期待感とのバランスが複雑に絡み合っている結果と言えるでしょう。

番組制作上の制約と現実の建築設計

番組は、限られた時間内でドラマチックな変化を提示する必要があります。そのため、現実の建築設計プロセスでは不可欠な綿密な打ち合わせや、細かな調整、そして時間のかかる手続きなどが省略されがちです。また、予算の都合上、現実的な材料や工法が使われないケースもあるでしょう。これらの制約が、番組内で提示される提案と、現実の建築設計との間に大きなギャップを生み出しているのです。

視聴者の期待と現実の乖離

視聴者は、番組を通して「プロの建築士による、夢のようなリフォーム」を期待しています。しかし、番組で提示されるのはあくまで「演出された理想」であり、現実の建築設計には、予算、法規制、そして居住者のライフスタイルに合わせた柔軟な対応が必要となります。この期待値のギャップが、質問者様のような建築士の方々にとって、お客様とのコミュニケーションを難しくしている一因と言えるでしょう。

一級建築士の役割と倫理

一級建築士は、建築基準法を遵守し、安全で快適な建築物を設計・監理する責任を負っています。番組に出演する一級建築士が、法令を遵守した上で、番組の演出上の制約の中で最善を尽くしている可能性も否定できません。しかし、番組の演出が、建築士の倫理や専門性を軽視しているように見えるケースもあるのも事実です。

「テレビ的」な提案と現実的な提案の違い

「テレビのような提案」とは、通常、デザイン性やインパクトを重視し、予算や現実的な制約をあまり考慮していない提案を指します。一方、現実的な提案は、予算、法規制、居住者のニーズ、そしてメンテナンス性などを総合的に考慮した上で、安全で快適な住空間を実現するためのものです。お客様には、この両者の違いを明確に説明することが重要です。

お客様への説明方法

お客様に「テレビのような提案」の限界を説明する際には、以下の点を意識しましょう。

  • 番組の特性を説明する:番組はエンターテイメントであり、現実の建築設計とは異なる点があることを明確に伝えましょう。
  • 具体的な事例を示す:番組で実現困難な点、または現実的な代替案を提示することで、理解を深められます。
  • 安全性を強調する:建築基準法の遵守や、安全な材料・工法の重要性を強調することで、信頼感を高められます。
  • 費用対効果を説明する:番組のような提案を実現するには、莫大な費用がかかることを明確に伝えましょう。
  • 代替案を提示する:予算や制約を考慮した上で、お客様のニーズを満たす現実的な代替案を提案しましょう。

例えば、「番組では素晴らしいデザインが紹介されていますが、あれを実現するには、番組では伝えられていない多くの制約や費用が発生します。私たちは、安全性を確保しつつ、予算とライフスタイルに合わせた最適なプランをご提案いたします。」といった説明が有効です。

建築基準法と安全性の確保

建築基準法は、国民の生命、健康、財産を守るために制定された法律です。建築物の構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めており、建築士はこれを遵守する義務があります。番組内で、建築基準法に抵触する可能性のある提案がなされている場合、それは重大な問題です。

裁判事例から学ぶ

過去にデザイン優先で品質に問題があり、裁判になった事例があることは、建築設計における倫理の重要性を改めて示しています。デザイン性だけでなく、安全性、耐久性、機能性をバランスよく考慮することが、建築士の責務です。

まとめ:現実的な視点と倫理観の重要性

「劇的ビフォーアフター」のような番組は、視聴者にとってリフォームやリノベーションへの関心を高める効果がありますが、現実と乖離した部分も存在します。建築士は、番組の内容を鵜呑みにせず、お客様に現実的な提案を行うことが重要です。お客様との丁寧なコミュニケーション、建築基準法の遵守、そして倫理観に基づいた設計・監理こそが、建築士の真の役割と言えるでしょう。 番組を参考にすることは良いですが、あくまでも「参考」として捉え、お客様には現実的な提案をすることを心がけましょう。

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